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『セ、セナ……メッセージが止まらない。このままだと俺のパソコン壊れちゃうよ……』 『うわ……マジだ。セナさん恋人いたなんてショックー!だとよ』 『待て待て、俺遊んでんのはいいけど恋人はダメなのかよ?』 『……あ、ここで一曲流して下さいってプロデューサーが』  アキラさんが落ち着いて曲紹介をしてから、すぐさま最近の流行りの曲が流れ始めた。  ラジオブース内で今、どんな会話が繰り広げられているのか分からない。  でも、でも、絶対に、大変な事になってる。  アキラさんとケイタさん、プロデューサーさんやディレクターさんに色々言われてる聖南を思い浮かべてみた。  どんなつもりであんな爆弾発言したんだ、事務所の許可は取ってあるのか、相手は誰なのか──。  続けてCROWNのデビュー曲が流れている向こうで、矢継ぎ早な質問を受けていても聖南は飄々としていそうだ。  聖南の事だから、周りが何を言おうが「ほんとの事なんだからしょうがねぇじゃん」と一蹴してニヤッと笑みまで溢してるかもしれない。 「明日の情報番組がまた聖南さん一色になりそー……」  「CROWNセナ、突然の交際宣言!」なんて見出しで、またマスコミに追い掛け回される日々が始まりそうなのに、なんでこのタイミングで言っちゃうかな……。  スキャンダルとはちょっと違うけど、これはどの局もトップニュース扱いだと思う。  けれどたとえ恋人探しが始まったとしても、俺は男だからそうそうバレないに違いない。  記者さん達が血眼になって聖南を追い掛けても、女性の影を捉えられない事でこれもまた鎮火が早そうなネタだ。  そこでふと、ある思いがよぎる。 「あ……そういう事か……」  聖南は、俺が感じた不安をすべて失くすために、あんな大それた宣言をしたんだ。  俺に聖南は相応しくないんじゃないかという漠然とした不安と、聖南の思い描く未来に俺が隣に居ちゃいけないっていう葛藤を、呆気なく見破られてたって事だ。  それだけじゃなく、周りを固められた。  俺がもう要らない不安を抱かなくて済むように、そして、聖南の元を離れられないように……。 「いいの、そんな事して……聖南さん……」  聖南が本番前に、「公共の電波を使ってでも…」と言ってた真意が分かって、両手で顔を覆った。  ……かっこよすぎる。  どうしてそんなにかっこいい事が出来るんだ。  俺が隣に居ていい事は充分わかった。伝わった。  聖南、もう後には引けないんだよ。  これからまたしばらく追い回されて疲れる日々を送るかもしれないんだよ。  それでも聖南はこの方法を選んだって、……俺は、自惚れていてもいいの……?

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