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43♡ 3P

43♡ 3P 『セ、セナ……メッセージが止まらない。 俺のパソコン壊れそう…』 『うわ…マジだ。 セナさん恋人いたなんてショックー!って』 『待て待て、俺遊んでんのはいいけど恋人はダメなのかよ?』 『…あ、一曲ここで流して下さいってプロデューサーが』 アキラさんが落ち着いて曲紹介をしてから、すぐさま最近の流行りの曲が流れ始めた。 ラジオブース内で今どんな会話が繰り広げられているのか分からないけど、アキラさんとケイタさん、プロデューサーやディレクターに色々言われてる聖南を思い浮かべる。 聖南の事だから、周りが何を言おうが「ほんとの事なんだからしょうがねぇじゃん」って一蹴してそうだ。 「明日のテレビがまた聖南さん一色になりそー……」 CROWNセナ、まさかの交際宣言!なんて見出しで、またマスコミに追い掛け回される日々が始まりそうなのに、なんでこのタイミングで言っちゃうかな…。 スキャンダルとはちょっと違うけど、これはトップニュース扱いだろう。 でもたとえ恋人探しが始まったとしても、俺は男だからきっと目くらましになる。 「あ………そういう事か…」 俺が感じた不安をすべて失くすために、聖南はあんな大それた宣言したんだ。 ……ほんとに聖南は、何でもお見通しだって事。 俺が聖南の隣に居ていいのかという漠然とした不安と、聖南の思い描く将来に俺が隣に居ちゃいけないっていう葛藤を、呆気なく見破られた。 それだけじゃなく、周りを固められた。 俺がもう要らない不安を抱かなくて済むように、聖南の元を離れられないように。 「いいの、そんな事して…聖南さん……」 聖南が本番前に、公共の電波を使ってでも、って言ってた真意が分かって、両手で顔を覆った。 かっこよすぎる。 どうしてそんなにかっこいい事が出来るんだ。 俺が隣に居ていい事は十分分かった、伝わった。 聖南、これからまたしばらく追い回されて疲れる日々を送るんだよ? それでも聖南はこの方法を選んだって、自惚れてもいいの?

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