267 / 584
43♡ 3P
43♡ 3P
『セ、セナ……メッセージが止まらない。 俺のパソコン壊れそう…』
『うわ…マジだ。 セナさん恋人いたなんてショックー!って』
『待て待て、俺遊んでんのはいいけど恋人はダメなのかよ?』
『…あ、一曲ここで流して下さいってプロデューサーが』
アキラさんが落ち着いて曲紹介をしてから、すぐさま最近の流行りの曲が流れ始めた。
ラジオブース内で今どんな会話が繰り広げられているのか分からないけど、アキラさんとケイタさん、プロデューサーやディレクターに色々言われてる聖南を思い浮かべる。
聖南の事だから、周りが何を言おうが「ほんとの事なんだからしょうがねぇじゃん」って一蹴してそうだ。
「明日のテレビがまた聖南さん一色になりそー……」
CROWNセナ、まさかの交際宣言!なんて見出しで、またマスコミに追い掛け回される日々が始まりそうなのに、なんでこのタイミングで言っちゃうかな…。
スキャンダルとはちょっと違うけど、これはトップニュース扱いだろう。
でもたとえ恋人探しが始まったとしても、俺は男だからきっと目くらましになる。
「あ………そういう事か…」
俺が感じた不安をすべて失くすために、聖南はあんな大それた宣言したんだ。
……ほんとに聖南は、何でもお見通しだって事。
俺が聖南の隣に居ていいのかという漠然とした不安と、聖南の思い描く将来に俺が隣に居ちゃいけないっていう葛藤を、呆気なく見破られた。
それだけじゃなく、周りを固められた。
俺がもう要らない不安を抱かなくて済むように、聖南の元を離れられないように。
「いいの、そんな事して…聖南さん……」
聖南が本番前に、公共の電波を使ってでも、って言ってた真意が分かって、両手で顔を覆った。
かっこよすぎる。
どうしてそんなにかっこいい事が出来るんだ。
俺が隣に居ていい事は十分分かった、伝わった。
聖南、これからまたしばらく追い回されて疲れる日々を送るんだよ?
それでも聖南はこの方法を選んだって、自惚れてもいいの?
ともだちにシェアしよう!