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 躊躇ないその行動は、愛されていると実感出来て嬉しい。そして何よりひたすら可愛くもあるのだが、いきなりの積極性には少々気持ちが追い付かない。 「……っ……葉璃、どしたの? も、もういいっつってんのに……!」 「聖南さん……どんな時もかっこいいですね……」 「はぁっ?」 「俺の恋人なんだなぁって思うと、すっごい優越感です。嫌な奴だなって分かってるんですけど、俺いまとってもいい気分なんです」 「…………」  なるほど、と聖南はようやく葉璃の心が読めた。  葉璃は聖南のラジオでの恋人宣言が相当に嬉しかったようだ。  公の場で言ってしまった事で、取り返しのつかない事態になっているのと同時に、葉璃へも自ずとそういう事になっている。  雑誌を見て明らかに壁を作ろうとし始めていた葉璃を、何とか安心させてやりたいと思っての発言があれだったわけだが、聖南の思惑の一割は違うところにもあった。  それはわざわざ葉璃に話さなくてもいいだろうと、聖南は未だ積極的にペロペロし続ける葉璃の顎を取って上向かせる。 「……なぁ葉璃。お前は、この俺がしつこく追い掛け回してやっと手に入れた大切な人だ。運命ってのを信じちまうくらい、俺にとって葉璃はかけがえのない存在なんだよ。俺は葉璃が居なくなったら生きていけねぇ。分かるか? 愛してるって意味」 「……あの、……まだ俺には分からないです。……でも俺も聖南さんのこと大好きです。聖南さんが居なくなったら、多分俺も、生きていけない……」 「今はそれでいい。葉璃も同じ気持ちなら、もう何があっても狼狽えるな。お互いが信じてればそれでいいだろ? マジで俺はもう、葉璃しか見えねぇから」 「……はい。……聖南さん、……大好きです」  顎を取るとようやく舐めるのをやめた葉璃が、おずおずと聖南を抱き締めた。それに応えるように、聖南も葉璃をこれでもかというほど強く抱き締め返す。  職業柄、誤解を生んでしまう事態はこの先も必ずあるはずだ。  デビュー後の葉璃もまた、同じ条件下に晒される。  ヤキモチを焼いたり不安を感じたりするのが、葉璃だけではなく聖南もだと思うと今からジリジリしそうだが、気持ちが通っているならば少しの嫉妬で済むはずだ。  葉璃とは深い場所で繋がっていたい。出来れば葉璃がデビューする前に。  麗々の事は死ぬほどムカつくが、そう思っていた聖南にとってはいいきっかけとなった。  現にこうして、葉璃は卑屈さを滲ませつつではあるが喜びを爆発させてくれている。  珍しく聖南は動揺を顕にしてしまったが、理由が分かると尚更、葉璃の事が愛おしくてたまらない。  ── 俺の事大好きーってのはめちゃめちゃ伝わったよ、葉璃。  聖南が苦手だと思っていた行為は、それそのものが嫌だったわけではなく、好きだと思えない相手にされていたから微妙だっただけらしい。  ひと舐めと同時の葉璃の上目遣いには痺れた。  繋がって啼かせるのもいいが、あれもまた凄まじく良かったから、今度はシックスナインでやってみようと聖南は葉璃を抱き締めながらほくそ笑む。  いけない事をさせてしまっているという背徳感は、どうにも拭いきれないが。

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