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あれから聖南は、葉璃を愛しに愛しまくった。
いつになく背中を抱く腕に力を込めてくる葉璃にたまらなく煽られ、恭也に「ゲッソリさせないで」と言われて頷いた事が嘘になってしまうほど貪った。
朝陽の射し込むベッドルームには、行為の残骸である生々しいにおいが充満していたのかもしれない。
空気清浄機がいつになくうるさいので、恐らくそういう事なのだろう。
こてん、と横になった葉璃を聖南が後ろから抱き締めると、その腕を葉璃は掴んで離さない。
「……聖南さん、また朝ですよ……」
「だな。おはよ」
「おはようございます。……今からたっぷり寝かせてもらいますけどね」
「おぅ、寝ろ寝ろ。レッスン休みなら体休ませとかねぇとな」
「……明日に響きそうです」
「大丈夫。今日葉璃一回も堕ちなかったから、相当体力付いてる」
今日もほとんど休憩なく五時間以上愛し合っていたので、その間至るところを噛まれはしたが葉璃は一度も意識を手放さなかった。
途中「疲れた」と泣き言を口走ってはいたが、聖南にしっかり付いてきたところを見ると、日頃のレッスンが身になっている証拠だ。
きゅっと聖南の腕にしがみついたままの葉璃が顔だけこちらに向けてきたので、軽く唇を啄む。
「んっ……。聖南さん、今日もお仕事ですよね?」
「そーだよ。ここ十時には出る。その後夕方しか帰ってこれねぇけど、葉璃はここで寝てるだろ? 帰んねぇよな?」
「帰ってほしいですか?」
「いや、居てほしい。おかえり、って言ってほしい」
正直に心のままを話すと、腕の中で葉璃がふふっと笑って「分かりました」とまた振り返って微笑んでくれた。
聖南のこの小さな甘えとわがままは、葉璃にしか言わない。
仕事から帰って葉璃の姿があると思うと、浮足立ってしょうがなくなる。
起き出した聖南は葉璃を抱っこで浴室へ向かうと、隅から隅まで丁寧に洗ってやり、二人は少しだけ一緒に眠った。
聖南は仕事のために、気持ちよく寝ている葉璃が起きないようにソーッとベッドから抜け出そうとしたのだが、呆気なく葉璃に見付かって見送られている。
「寝てていーのに。起きたらコンシェルジュに連絡して食い物届けてもらって。もし昼間に起きれそうなら、俺昼の生放送出てっから観てよ」
「え、そうなんですか! 絶対に観ます!」
「ふっ……。じゃあ、行ってくる」
「……行ってらっしゃい、聖南さん。今日も一日がんばってください」
眠そうな葉璃は、そう言いつつ聖南のパーカーの袖で目を擦った。
幼いその動作も可愛くて、たまらないなと思いながら柔らかい髪を撫でて聖南は玄関を出る。
葉璃と離れる時はいつもこの虚無感を味わうため、離れがたい気持ちを殺さねばならない。
仕事はおざなりに出来ないから、一日も早く四六時中一緒にいれるようになったらいいのにと、未来の同棲に思いを馳せながら……。
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