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CROWNのダンスは簡単そうに見えてかなり複雑だった。
デビュー曲からケイタさんが振り付けを考えてるらしいけど、これは短期間でサラッとなんてとてもじゃないけど覚えられない。
memoryみたいな女の子グループのダンスはメリハリがあって同じ動きも多いから、俺は何とか短時間で覚えられたけど、CROWNのダンスはまたちょっと違う。
リリカルヒップホップだって聖南が言ってたけど、俺には何のこっちゃ分からない。
ただただ一つ一つの動きを正確に体に叩き込んでいくしかなくて、体が覚えてしまった後でもスムーズに踊れるまでめちゃくちゃ時間がかかりそうだ。
「葉璃が苦戦してるのに、俺がすんなり踊れるわけないよね…」
レッスン終わりに制服へまた着替えをしながら、恭也がしょんぼりと肩を落とした。
このダンスレッスンが始まってもう一週間が経つけど、センスがいいって褒められてた俺ですらまだ四苦八苦中だ。
「だって難しいもん。 しょうがないよ。 恭也背が高いからこのダンスの見栄えいいよね、いいなぁ」
「また言ってる。 …葉璃、成長痛はもうないの?」
しつこいまでに俺が恭也との身長差を気にしてるから、恭也はちょっとだけ笑顔に戻って鞄を肩に掛けた。
「ないよ、ない。 たった3センチのための成長痛だったんだって思ったらムカつく〜〜」
俺も鞄を手にして恭也の隣に並んで、レッスンの講師に「お疲れ様でした」と挨拶をした。
スクールと併設された事務所へは、一度外に出なくても中から行き来出来る。
「いいじゃない、伸びた事に、変わりはないんだから。 セナさんくらい伸びられても、俺も困るよ」
「何で困るんだよー」
せっかくあんなに痛くて大変だったんだから、もっとガッツリ伸びても良さそうなもんなのに、何だよ3センチって。
恭也が言うように伸びてる事に違いないけど、全然喜べない。
「葉璃を見上げる事になるなんて、嫌だよ。 この感じが、いいのに」
「俺は見下ろしてみたいんだ! 俺の周りの大人達大きい人多いから、囲まれたら俺見えなくなるだろ?」
「それがいい。 囲まれてドキドキしてる葉璃、好き」
男として、長身が良いなって思うのは当然なのに、恭也が真っ直ぐな瞳でそんな事を言うから俺が単に駄々こねてるみたいだ。
俺はせめて、恭也くらいは背が欲しかったよ。
聖南とキスしてたあのHottiのモデルさんは、スラッとしてて背も高そうだったから余計にお似合いに見えた気がした。
俺を抱き締めてくれる時、聖南は背中を丸めるようにすっぽり包んでくるから、やりにくそうだなっていつも思ってる。
俺があと少し…10センチ高ければ、聖南といい感じで並べそうなのに。
いや、ていうか聖南が高過ぎるんだよな。
186センチなんて、俺と何センチ差だって話だ。
「うーー…」
「何唸ってんの?」
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