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「ハルは良い子だな。 ……マジでセナの事頼んだよ、あの猛獣の相手は色んな意味で大変だろうけど。 疲れたら、たまに俺とケイタに託していいから」
「はい。 ………でも疲れる前に、何とかします。 聖南さんは俺にとっても大切な人ですもん」
「よしよし」
仮装パーティーの時に慰めてくれたみたいに、実質長男のアキラさんがまた俺の頭を撫でてくれた。
アキラさんは初めて会った時から、この特殊と言っていい俺と聖南の関係を認めてくれて、応援してくれてる。
俺が男だって知っても、何の偏見も見せないで。
俺への態度や愛情の掛け方で聖南が本気だって分かったからなのか、こうして聖南との仲を後押しするような事をたくさん言ってくれる。
それがどれだけ勇気付けてくれてるか、きっとアキラさんは分かっててやってるんだと思うから、すごく頭が良くて優しい人だ。
そこでいくらかアキラさんと話をして、冷めたほっぺたを合図に俺達は料亭へ戻ろうと立ち上がり掛けた。
「あ…」
その時、瞬時にアキラさんが何かを察知して、俺に巻いてくれたマフラーを目元まで上げてきた。
………何も見えない。
「ど、どうしたんですか?」
急に視界が真っ暗になってオロオロしていると、アキラさんが俺を庇うように立ち上がった気配がした。
「撮られたかも」
「えっ!?」
「フラッシュきたから、……多分撮られた」
「と、と撮られたって……」
「俺とハル」
「………………ッッ!?」
まさかこんな所にマスコミが居るとは思わなかった。
CROWN三人揃って出掛けてたら、そりゃ目立つよな…。
マスコミが追ってきてたなんて全然気付かなかったけど、ラジオ終わりに三人で出掛ける様子さえ記事になるCROWNの人気度を改めて思い知らされた。
「ハル、そのままマフラー目元ギリギリで押さえとける? 後ろ結んであげるから」
「はい、大丈夫です」
「戻ろっか。 記事が出たらその時はその時だ」
どうやらかなり遠くからのフラッシュだったらしく、辺りには俺達以外に人気は無かった。
アキラさんもこんな事は日常茶飯事みたいであんまり気にしてないし、何より…。
「俺男だし後輩だから平気じゃないですか?」
足元がおぼつかないから、来た時同様俺の手を引いてくれてるアキラさんにそう言うと、何故か苦笑が返ってきた。
「男に見えてたらいいけどね」
「あ、アキラさんまで俺をからかってます?」
「そうだと良かったよ。 ………ハルもセナの扱い大変だろうけど、セナもハル相手じゃ大変だな〜」
「え?? 何ですか???」
「いやなんでもない。 独り言。 あ、見えてきたよ、もうさすがにエッチな話は終わってるだろ」
少しだけ急ぎ足で庭園を抜けて料亭に戻ってくると、今まで薄暗い場所に居たからか目の前がパァッと明るい。
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