347 / 584

51♡3※

 聖南はジッとしたまま動かない。  ローションを少しだけ自身に垂らして、聖南のものでたっぷりと解された淫らな俺の孔に先端を押し当てている。  自分で挿れるなんてそんな……そんな高度なこと、出来ないよ……。  力無く見上げてみても、聖南はギラギラした雄の目で射抜いてくる。  頑張って、って……。無理だよ、無理……。  さっきは必要に迫られてたからこそ出来たんだよ。  恥ずかしさよりも漏れちゃうっていう焦りの方が大きかったから……。 「…………うーー……」 「そんなかわいー顔してもダメ。一分俺から離れた罰」 「……ヒドイよ……トイレ行っただけで……」 「腰、動かしてみ」  ツン、と先端の先っちょが孔を悪戯する。  それだけで、わずかに開いた孔が聖南を待ちわびるように少しだけ収縮したのが嫌でも分かった。  欲しいんだ、俺は……聖南のアレが……。  聖南を見詰めても綺麗な顔して微笑むだけで助けてくれないし、ぐじゅっと先端が入り込もうとした瞬間、俺も欲しくなっちゃうしで……どうしてもやるしかなさそうだった。  意を決した俺は、ほっぺたを火照らせてゆっくりゆっくり聖南の方へ腰を動かしてみる。 「んっ……んんんっ……」  聖南のものが、挿入ってきてる。ヌチ、ヌチ、とローションの擦れるいやらしい音が聞こえてきて、すっごく恥ずかしかった。  でも同時に、敏感な内側を太いもので満たされていく感覚がたまらなく快い。  俺が動いた分だけ、聖南のものが少しずつ挿入ってくる。 「あ、っ……んぁっ……あっ……」  いやらしい粘膜音と一緒に、固くて熱い聖南のアレが俺を犯してくる。先端の丸みを感じたあとは、入り口を目一杯拡げながら長い竿部分に内側を擦られて啼かされた。  聖南が性器を握って、俺の動きに合わせて角度を変えてくるんだからもう……気持ち良過ぎて吐息ばっかり漏れて、声も出せない。  たくさん時間を使って、自分で挿れてるのに勝手に喘いで、恥ずかしくて目が開けられなかった。  聖南は今、どんな顔して俺のこと見てるんだろ。  俺は一人で啼いちゃうくらい、聖南が中に挿入ってきただけで気持ちよくて嬉しいけど……下手くそだなって思われてないかな。 「……ん、ん、……はぁ、っ……はぁ、……っ」  ようやくお尻が聖南の体に密着し、ある程度までびっちり入ったのが分かると途端に呼吸が楽になった。  挿れてる最中、まともに息をしていなかった事に気付いた俺が何度も肩を揺らしていると、聖南が背中に覆い被さってくる。  ちゅ、と耳に口付けられて、 「よく出来ました」 と甘い声で囁くのは卑怯だと思う。  まだ呼吸が整わないうちから、獣化してる聖南の腰が俺の中をいたぶり始めた。今が一番奥だと思ってたのに、ぐんっとさらに奥を拓かされた俺の体が、電気が走ったみたいに小さく震えた。 「んあぁっ……せなさんっ、……動くの、待って、……」  聖南のものは大きい。そして俺のものより倍は長さがある。  全部挿入ると、俺のお腹までそれは到達してるんじゃないかってくらいだ。  聖南の形にも質量にも慣れてしまった俺の内側は、そんな激しくて卑猥な悪戯も喜んでしまうようになった。 「あぁっ……!! も、もう、っ! 待ってって、言ったのに……!」 「ごめんごめん。あんまり気持ちぃから擦りたくなって」 「……ごめんって思ってないでしょ……」 「あ、バレた?」  聖南が背後でクスクス笑う度、中にも微かに刺激が伝わってもどかしいほどに腰が疼いた。  俺のものから少しずつ溢れる先走りが、興奮を如実に伝えている。 「……動いてい?」 「……あっ、もう、動いてる……! あっ……やっ……やっ……」 「葉璃ちゃん、嫌なの? そんなかわいー声で嫌って言われるとなぁ……余計興奮するからやめとけ?」 「やっ、何……っ? ……んっん、苦し……! せな、さ……ぁんん! おっきぃ、から、くるし……っ」 「……えー……何それ。めちゃくちゃかわいー。なんでそんなかわいーの、葉璃。なぁ、はるちゃんー♡」  待ってって言ってるのに待ってくれないギラついた聖南は、やってる事は意地悪でも俺を抱き締めてくれる腕はとっても優しかった。  甘やかすようにほっぺたを撫でられて、その隙にググッと中を深く抉られても、腰付きも手付きも愛しい者を愛でるそれで。  変な性癖を押しつけられた事は棚に上げて、見事に誤魔化された俺は大事にされてる喜びについほっぺたが緩んでしまう。  聖南が俺に言う「可愛い」は、どういうつもりで毎回言ってるんだろとは思うけど……。 「……あっ……やっ、やっ、出そっ……やっ……!」 「だーかーらー、嫌って言うなって。なんかいじめたくなるんだよ」 「そん、そんなっ……あぁっ、……やっ……」 「前も後ろもこんなにグズグズで感じまくってんのに、どういうつもりで「嫌」とか言ってんの?」 「……え、……?」 「── みたいなイジワルを言っちまいそうになるってだけ。そんなかわいー顔するなよ」  な、なんだ……。  本気で聖南の機嫌が悪くなったのかと思った。  「葉璃にマジのイジワルなんて言えるわけねぇだろ」と微笑む聖南が、うるうるした俺の目元にキスをしてくれた。  感じてちゃいけないの? 俺をこんな風にしたのは聖南なんだよ?  それがただのイジワルだって言ってくれなかったら、きっとまた俺は悲しくなってぐるぐるしてたよ。

ともだちにシェアしよう!