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したいですって、確かに言ったよ、俺は。
でもトイレにも行かせてくれない聖南は、抜かずの三回目に突入しようとしている。
嫌でも目に入る壁掛けの時計では、エッチを始めてからもうすぐ三時間経過してる事を示していて、一回にたっぷり一時間以上使ってるって事だ。
聖南が腰を強く打ち付けて来る度に快感に震えて、同時に尿意にも震える。
三十分くらい前から、お願いだからトイレ行かせてって何回も言ってるのに、聖南はニヤニヤしたまま離してくれない。
「体に悪いからここで出しちまえ」って、信じられない答えが返ってくるからそう何度も言えない俺の気持ち、ちょっとは分かって? 聖南……。
「……あっ、ま、待って、おね、おねがい……! 行かせてっ……!」
「さっきから何回もイってんじゃん。遠慮しないでイっていいって」
「ちがっ、……あぁぁっ! ……んっ、あっ……違う! ……もう、ほんとに……っ……せなさ、……っ、もれそ……!」
「漏らせばいい」
「なっ!? やっ……いやっ……いい加減に、しないとっ……おこるよ……!」
そういえばずっと前も、こんな調子で「漏らせばいい」って言われた事を思い出した。
あの時も俺は、必死で我慢しながら聖南をキツく睨んだ。すると、「そんな可愛い目で見るなよ、照れるだろ」って……見当違いな事を言われたからよく覚えてる。
聖南が本気で言ってるのか分からないけど、そんなディープな性癖には付き合えない。
「怒んなよ。ほら、……行っといで」
「あっんん──……っっ!」
俺の本気の睨みがようやく効いたみたいだ。
漏れそうだって言ってる俺を面白がってるようにクスクス笑いながら、いやらしい音を立てながら聖南がゆっくりと性器を引き抜く。
ただでさえお腹が苦しくなるくらい聖南のものは大きいのに、それで何回も我慢を強いられてた俺は、すでにおしっこなのか精子なのか分かんないものをたくさん漏らしていた。
固さを保ったままのそれでズルズルと襞を擦られると、引き抜かれてるって分かっていても瞳を瞑って無意識に声を上げてしまう。
「抜くとそうやってかわいー声出すじゃん。だからまた入りたくなるんだよ。お茶目だろ、聖南さん」
「あっ!? う、うそ、嘘っ……!? また入ってる……!」
「ほんとだ。また入ってんな」
聖南が入れたんだろ!っていう文句は、我慢の限界が迫ってる俺にはもう言えなかった。
とにかく漏れちゃいそうで、離してくれない聖南は頼りにならないし、思い切って自分で抜いてやれっと繋がったまま自分の体を反転させてみる。
「うぉっ、葉璃すげぇ、そんなのも出来るようになったのか」
「……るさいっ……あっ……んぁぁっ……っっ」
バックでの体位から、俺はよじよじと枕元の方まで上がって聖南のものを自分で引き抜く事に成功した。
自分で動いたのは初めてだったけど、恥ずかしいと思う前にベッドを飛び降りてトイレへダッシュだ。
突然引き抜かれて取り残された聖南が、ベッドルームから「葉璃ちゃん身軽〜」なんて呑気に呟く声がしたけど、ほんとにもうあの焦らす性癖だけはやめてほしい。
「漏らせば」って言うのも限りなく本音のような気がして怖いし……いつか実行に移されてしまわないかと、変な心配をしてしまう。
「おかえり」
「……ただいま。……うわっっ」
スッキリしてベッドルームへ戻ると、すぐさま腕を引かれて聖南の胡座の上に座らせられた。
自然と聖南の反り立ったものが俺のお腹に当たってしまって、それは男として嫉妬を通り越して羨ましいとさえ感じるほど立派だ。
ギュッと抱き竦められて頬擦りしてくる聖南に、小さな恨み節を囁かれる。
「ひどいじゃん、一分も俺から離れるなんて」
「しょうがない一分だから! 我慢すると体によくないもん」
「だから漏らしていいっつってんのに」
「それ次言ったらほんとに怒りますよ!!」
「もう怒ってんじゃん」
ふふっと余裕で笑う聖南にもたれ掛かって、これ以上変な性癖を押し付けてこないでとぼやいた。
「性癖じゃねぇし」
「どう考えても性癖! ほんとやめてくださいっ、これで三回目だから性癖確定!」
どの口が否定するんだよ。嬉しそうに「漏らせばいい」って言ってたあの笑顔は、絶対に本心からくるやつだ。
ムッとほっぺたを膨らませると、笑顔を崩さない聖南がチュッと音を立ててキスしてきた。
「んっ……わわ、……」
フレンチキスに酔いしれる間もなく、俺はうつ伏せに組み敷かれて慌てて聖南を振り返る。
すると笑みを濃くした聖南が先端を押し当ててきて、俺にとってはめちゃくちゃに無理難題な事を言ってきた。
「なぁ葉璃ちゃん。さっき自分で抜いてただろ、今度は入れてみてよ」
「え!? そ、そんな……! そんなのできるわけ……」
「頑張って♡」
「──っっ!」
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