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温かい。
ふわふわの毛布に包まれて聖南に抱かれていると、夢も見ないでぐっすり眠れる。
聖南の規則正しい寝息も確かな安堵を与えてくれていて、心と体が忙しかった昨日一日の疲れを存分に癒やしてくれた。
俺は何も心の内を明かしてないのに、聖南はもちろん周りの大人達みんなに、見事に全部読まれてた。
離れないでいいって言ってくれたけど、騒動を起こした張本人である俺はまだまだ不安でいっぱいで、聖南が傷付く事になったらどうしようって今も思い悩んでしまう。
もう悩むなって聖南は言うけど、そんなの無理だ。
でも、だからって逃げるのはやめた。
たくさん聖南に心配掛けたし、アキラさん、ケイタさん、佐々木さんには多大に、何故か居た荻蔵さんにはちょこっとだけ迷惑を掛けてしまった。
俺が考えナシにした行動で家族や周囲をも巻き込んでしまって、それはやっぱり行き過ぎた行動だった。
ダメだ、強くならなきゃ。
消そうと思っても簡単には消せない不安は、心の中だけで留めていられるように、誰にも迷惑をかけないように、………聖南を安心させてあげられるように。
「………ん、…葉璃? …起きてんの?」
「…………ううん、寝てる」
「いや、起きてんじゃん……」
ふっと笑った聖南に一際ギュッと抱き締められた。
「良かった、葉璃居て……」
「……………ん?」
「目覚ましたら居ないっての想像してブルってたから」
ごめん、……ごめん……聖南。
そういえば聖南との記念すべき初エッチの後、俺はここから姿消してそのまま一ヶ月近く連絡取り合わないって事もあったっけ。
あの時も俺の中ではちゃんと理由があったけど…、何だか聖南は逃げる俺を追い掛けてばっかりだ。
不安を感じてるのは聖南も同じ…なのに。
俺がそうさせてるんだ。
「聖南さん…ごめんね。 俺、弱いね。 どうやったら強くなれるんだろ…」
「んー…寝起きにする質問じゃねぇな。 …俺言ったはずだけど。 根暗でネガティブで卑屈な内面ひっくるめて好きだって」
……うん、言ってくれたね。
出会った時の俺は今よりもっとヒドイ状態だったのに、最初っから聖南はそうやって俺を丸ごと好きだって言ってくれてた。
なんで俺なのってぐるぐるしてた時を懐かしく回想できるほど、今はこんなにも聖南の事が大好き。
俺のせいで聖南が嫌な目に遭わないかって、だったら俺が居ない方がいいよねって、聖南の事を一番に考えてあげられるくらい。
「………俺も聖南さん好き……好きだよ…好き……」
離れてあげた方がいいって分かってるのに、離れたくない。
こんなんじゃ、絶対に別れられるはずなんかないのに。
聖南の背中に腕を回してぎゅっとしがみついて足を絡めると、二人とも朝勃ちしてる事に気付いて急に恥ずかしくなった。
「朝から熱烈だなー。 …んなかわいー事言ってると襲っちまうぞ」
「………いいよ、…しよ」
聖南を深いところで感じたくて、俺もそういう気分だったから素直に応えるとゆっくり覆い被さってきた。
でもいつもと雰囲気が違う。
俺の頬を撫でる手が優し過ぎて意味深で、苦笑を浮かべた聖南をジッと見詰める。
「やった後逃げんじゃねぇだろうな? これを思い出にしますとか言って」
「言わないよ、そんな事…」
「ほんとか? どこ逃げても必ず連れ戻すからな。 俺から離れられると思うな」
至近距離でニヤッと笑った聖南は、寝起きだからかセクシーさがハンパじゃない。
聖南との朝を迎える度にドキドキしてしまうから、心臓がいくつあっても足りないよ。
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