452 / 584

61❥ 8P

61❥ 8P いつもいつも、翌日仕事があるからと妥協して抱いていた葉璃を、目一杯愛せるチャンスなどそうそう無いのだ。 多少権力を誇示してスケジュールを調整させてもらったが、聖南は何も後悔などしていない。 むしろ、今まで従順に何でもやり過ぎていた。 これからは葉璃のために生きていくと誓ったのだから、仕事も頑張るけれどやはり最優先なのは葉璃だ。 シーツにくるんだ葉璃を備え付けの露天風呂へと運んで、温かい湯をかけてやる。 たっぷり四回中出ししたので、お尻の穴に指を入れてまんべんなく精液を掻き出した。 脱力した葉璃は大人しく聖南に抱かれたままで、頭からつま先までを綺麗に洗い上げてやる。 「………立てない………」 「ふっ…。 そう言うと思った。 おいで」 立とうとしても足が震えている葉璃は、生まれたての子鹿のようで何とも愛らしい。 「すげぇ冷えんなぁ。 今って夏だよな?」 「うん、そうだね」 遠くの山に朝靄のかかる寒々しい景色とひんやりとした冷気は、季節を分からなくさせていた。 少々熱めの湯がちょうどいい。 聖南は葉璃を後ろから抱いて湯船につかると、目前に広がる広大な湖を指差した。 「見て、この眺め」 「……う、うわぁぁ……! 綺麗…! キラキラしてますよ!」 「ネット情報も侮れねぇもんだな。 写真以上だ」 調べたところ、この絶景を拝めるスイートコテージは時期をずらせば穴場だと書いてあったが、あまり期待はしないでおこうと思っていたけれど想像以上だ。 水面に映るたくさんの木々の色が、本来のものと折り混ざってとても美しい。 早朝の朝陽によって、澄んだ空気が湖全体を覆い、星が散らばっているかの如く燦々と輝いている。 まるで、この世には二人しか存在していないのでは、と思わせるほどの静寂も相まって非常に幻想的だった。 素晴らしい絶景を前に、しばし二人は言葉を失くした。 「…………葉璃、愛してるよ」 首まで湯に浸かった葉璃をギュッと抱き締めると、聖南の腕を掴んで胸に体重を預けてくる。 「好きです……聖南さん」 聞きたかった言葉が容易く返ってくる幸福に、どうしようもない愛しさが湧き上がってきてたまらない。 好きで、好きで、大好きで、心の底から愛しているのに、全然伝え足りない。 この情感が形になるならば、葉璃へありったけの想いを伝えるのに。 「ーーーあ、あるわ」 「??? な、何が?」 聖南の謎の一言に、葉璃がゆっくりこちらを向いた。 ネックレスが湯に漂っている様に笑みを溢すと、首筋に何度も口付けながら「歌だよ」と脈絡もなく続ける。 「歌?」 「俺、ETOILEのプロデューサーになる。 もう一グループやってくれって言われてるけど、俺やりたい」 「あ! さっき言ってたやつですか?」 「そうそう。 ほんとは時期とセールス状況見ての結論がいいんだろうけど、ETOILEが五人体制になるまでは俺がやる」 「や、やるって…。 それはありがたいですけどETOILEのスタッフさんが黙ってないんじゃ…? CROWNのプロデューサーさんも居たし…」 「俺に物言える奴は居ねぇよ」 「……………………」 ETOILEのデビュー曲であるsilentは、聖南が葉璃へ片思いしていた頃作った思い出の一曲だ。 それが世間に受け入れられるかは、「セナ」という確かな名声と葉璃と恭也の歌唱力、表現力、ルックスによって言わずもがな売れる事は間違いない。 事務所のETOILEセールスプロモーションも凄まじい熱の入りようで、さらにCROWNの兄弟ユニットとなれば話題性も抜群である。 二人のレコーディングや編曲作業にも多大に関わっていた聖南は、次のシングルを手掛けるのは誰だと事務所でETOILEのスタッフに会う度にしつこく聞いていたが、自分が曲を上げてしまえば話は早いと踏んだ。 売れる曲を書くのは難しいけれど、新しいものを生み出す才能ならあると自負しているし、ETOILEのためであれば葉璃を想っていくらでも創造できる気がした。 「来週からsilentの予約受付始まんだろ。 来月からのスケジュールもビッチリなはずだ。 まぁ勝負は三枚目のシングルだろうけど、俺がやれば勝ち確。 俺の想いも乗せられるし、ETOILEも軌道に乗るし、売り上げ上がって事務所もウハウハだし、一石三鳥」 「そ、そんなうまくいきますか…?」 「もちろん! 俺を誰だと思ってんの? CROWNのセナだぞー」 「ふふっ……カッコいいです、CROWNのセナさん」 「もっと言って。 葉璃に褒められるとめちゃくちゃやる気出る」 「あ、急に甘えん坊の聖南さん来た」 葉璃といると、自分が「CROWNのセナ」である事を忘れそうになってしまう。 ただの「日向 聖南」として、一人の男として、飾らずに葉璃と接する事が出来るからつい甘えてしまう。 こんな自分に気付いてしまった以上、葉璃にはたくさん発破をかけてもらわねばならない。 面倒がらずに褒めてくれる葉璃の頬を背後から撫でて目を細めた。 「……葉璃ちゃん誕生日おめでと」 「ありがとうございます。 今日あと何年分言ってくれるんだろ?」 「今日だけじゃなく毎年一生分言ってやる。 言葉だけじゃ足んねぇけどな」 「……も、もしかしてまだやる気ですかっ?」 「これで終わりのはずねぇだろ。 この絶景堪能したら朝メシ食って再開しようなー♡」 「休憩くださいよ、休憩!」 「分かってるって。 五分くらいジッとしてたらいいんだろ?」 「聖南さん入ったままだと休憩じゃな…!」 「はいはい、抜く時かわいく啼くのやめてくれたら抜いてやるよ」 声を抑えられないと分かっていての発言に、撫でていた頬がぷぅと膨らんだ。 「………ムーー!」 「キスの催促? かわいー事するなぁ」 頬が膨れているので、窄んだ唇がツンと聖南を向いて誘惑してくる。 ちゅっ、と口付けるだけのつもりが葉璃と目が合ってしまって、堪えきれずに舌を挿入した。 体ごとこちらを向いた葉璃の頬はもう萎んでいるが、キスに夢中だったのは聖南だけではなかったようだ。 ならば、望みは叶えてやらねば。

ともだちにシェアしよう!