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── 一月某日 ── Ⅶ 葉璃の嫉妬②※

7♡  俺は、ギク、と体を強張らせて聖南を見上げた。  聖南は勘が鋭いけど、俺の事となると視野が狭まるみたいだから、黙ってればバレないと思ったのに。 「お、その反応は正解だったみたいだな」 「……ち、違っ……!」 「葉璃ちゃん妬いてんの? さっき許してくれたんじゃなかったの?」 「許した、……よ」 「じゃあ何でヤキモチ焼いてんのかなー」  かわいーからいいけど、とニコニコな聖南から、俺のものをきゅっと握られた。  下着越しに触れられたそこは、聖南からのしつこいキスによってすでに疼き始めてる。 「ぁっ、……っ」 「また自分で洗ったの?」 「え、……っ?」  するすると俺の下着を脱がした聖南は、ローションのボトルからドロッとした透明の液体を指に絡ませると、窄まった穴へ塗りたくる。  足を開かされた俺は、見た目以上にガッチリとした聖南の肩に捕まってギュッと瞳を瞑った。  ──洗った。もちろん洗ったけど……それも恥ずかしくて答えらんないよ……。 「ここ。一人でシャワー浴びたっつー事はそうなんだろ? 最近マジで俺にさせてくんないもんな」 「やっ、……ちょ、っ……言わないで……」 「今さら何を恥ずかしがんのかねー。葉璃が乱れたとこもう何回見てると思ってんだか」 「聖南さん、……っ……も、うぅぅっ……」  濡れた指がぐにゅって入ってきてるのに、今日はキスしてくれない。  ギチギチと侵入してくる異物感がたまらなくてツラい顔してたら、いつもなら舌を絡ませて紛らわせてくれるのに……なんで……?  瞑ってた瞳を開けてみると、思ったより聖南の顔が間近にあってビックリした。  至近距離でジッと見詰めてきて、聖南の中指が根元まで入ったのが分かると無意識にお尻に力が入る。 「何で妬いてたのか言えよ。言わねぇとイイとこ擦ってやんないからな」 「……や、妬いてなんか……っ」 「言えって」  聖南、俺が何にヤキモチ焼いてるのか、もう絶対分かってる。  それなのに言わせようとしてるんだよ、目をギラギラさせた獣な聖南は。 「……やだって思ったんだもん……」 「何が?」 「……っ。……聖南さんが、女優さんと仲良しなとこ見るの、……やだ」  このままじゃずっと問い詰められてしまうと思い、俺は視線を宙に彷徨わせて白状した。  すると聖南は、口元だけでにんまりと笑った後ゆっくり指を引き抜き、ローションを追加している。  不気味に肩を揺らして笑いながら……。 「ふっふっふっ……。あー……最高。それ待ってた」 「へ……っ? やっ……あ、っ……ぁあっ……っ」  二本に増やされた指が躊躇いなく入ってきて、聖南の肩にしがみついてた俺の指先にギリッと力がこもる。  何だかめちゃくちゃ嬉しそうな聖南に胸元をたくさん吸われて、掻き回され始めた中がとろとろに解れてきたのが分かった。  両方の乳首をまんべんなく舐めては、チロチロと舌先で突起を転がす。  そこに温かみを感じる度に、ピリ、ピリ、と下腹部へ快感が集まってしまって、聖南の指を締め付けてはリアルな感触を味わう羽目になった。 「仲良しなとこ見んの嫌って? 何でだろうな?」 「……わ、分かんな……っ……! せな、さ、……っん……!」 「分かんねぇ? ほんとに? ほんとに分かんねぇの?」 「せなさん……っ意地悪、言わない……で……!」  これは完全なる誘導尋問だ。  俺がぐるぐるしてる理由を話せば、たぶん聖南は今以上にご機嫌になるんだろうけど、聞き方がすごく意地悪で反発したくなった。  話しながらも中を解してる指の本数を増やして、俺の体を唇でたくさん愛撫してくれている。  それだけで俺の全身は恐らく真っ赤だ。 「言いたくもなるだろ。ちゃんとハッキリ言って、葉璃。俺も葉璃と同じくらいぐるぐるしてたんだから、安心させて」 「なんで……っ? なんで聖南さんも、ぐるぐる……?」 「葉璃はすぐ俺と別れたがるから」 「そ、それは……!」 「俺から離れねぇって言ってくれるわりにはすぐどっか行こうとするじゃん。今日みたいな事あると俺は何も言えねぇけどさ、信じててほしいんだよ。葉璃にだけは」 「……分かってる、もん……分かってるけど、俺……っ」 「自信がないって言うんだろ。でも俺にも自信なんてねぇんだからな? いつ葉璃が心変わりするか分かんねぇし」  こめかみにキスをしてきた聖南の唇が、少しだけ尖っている。  おかしいな……ヤキモチ焼いてたのは俺の方で、むしろ聖南を問い詰めるべき立場だったのに何故か聖南がイジけ始めた。 「し、しないよ……っ! そんな……心変わりなんて……」 「葉璃がぐるぐるしてるとこにいい男が現れたら、簡単に葉璃の事持ってかれるかもしんないだろ。ぐるぐるしてる葉璃は俺と別れるって選択しかしねぇから」 「……しないもん……心変わり、しない……! ん、んぁっ……」  聖南はそう言うと、指を引き抜いてすぐさま熱く猛ったものを押し当ててきた。  挿れるのはまだ早い、っ早いと思う……!  感覚的に直感した俺が口を開こうとしたら、何を勘違いしたのか聖南の舌が入ってきて唾液を奪われた。  甘やかに舌を絡ませて離れた聖南が、俺の背中に手を回す。 「それなら俺を信じてよ。俺が千鶴と話してたのは、葉璃との事が千鶴にバレたからだ。リークされっと困るから口止めしてたんだよ。ちょっと脅し入っちまったけど」  息を詰めてその時を待っていると、ずぶっ、と挿入しながら聖南が衝撃的な事を言った。

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