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第8話

人も疎らな放課後。 相も変わらずベタベタと触ってくる女の子達と駅まで向かい、電車がホームに滑り込んで来たタイミングで忘れ物をしたと1人学校に引き帰ってきた。 忘れ物なんて嘘。 教室ではなく、生物室に顔を出す。 端から見れば真面目に部活動をする生徒に見えなくもないかな。 この髪色じゃきついか。 カラカラと回車で遊ぶどんぐりにおやつを与えながら、生物準備室を見遣る。 明かりの漏れる古びた扉の向こうにあの人はいる。 「どんぐり、秘密な。」 口の前でシーっと人指し指を立てると、どんぐりはおやつを持って寝床へ向かった。 飼い主に似て良い子だ。

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