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第20話

清掃が終わると職員会議へと急いだ。 そして、しまったとそれに気が付いたのは、とっぷりと時間が過ぎた放課後。 カラカラ…、 静まり返った生物室に小さく息を吐いた。 施錠を忘れた生物室。 悪戯されては始末書ものだ。 それに、彼がいたらと思うと…。 良かったと準備室に向かおうとして、教卓の隅に何が置かれているのが見えた。 なんだろう… 忘れ物…は、清掃の時はなかったし… 近付くとペットボトルの緑茶。 それを重しに下に挟まれている紙を手に取る。 重なっていた部分が水滴で湿っていた。 『どんぐりのご飯とおやつ、トイレ掃除しました 戻ってこられないようなので先に失礼します お茶、先生の分 飲んでください 古志』 まだひんやりとしたお茶に殆ど入れ違いだったと悟る。 会いたくない。 …いや、違う どんな顔をすれば良いのか分からないんだ 「どんぐり…」 相川の友人は、古志が用意してくれた水を美味しそうに飲んでいる。 そんな友人が、ただ、ただ、羨ましい。 羨ましい。

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