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第21話
「相川さーん、お届け物です。」
「あ、母さん?
光輝。
荷物届いたっちゃね。
うん、ありがとう。
でも、カップ麺はこっちでも買えるって…」
実家から届いた荷物の中身は、家で採れた米に野菜、カップ麺に麦茶のパック、レトルトのカレーにレンジ加熱で食べられるご飯と食べ物ばかりが詰まっていた。
『それを言うなら光輝も仕送りは良いって言ってるやろ。
光輝が頂いたんだから好きに使いなさい。
おじいちゃん達だってまだ畑仕事出来てるんだし気にしなくて良いんよ。』
「またその話…。
僕が好きで送ってるんだから、母さんが好きに使ったら良いんよ。
パーマかけたり、服買ったりしとん?」
『そんなお洒落したってお父さん何処にも連れて行ってくれんのよ。』
野菜は冷蔵庫、レトルト食品は戸棚、それぞれしまいながら母親に電話をかける。
給料の内、微々たる金額を実家に送っているが母親はそれに手を着けようとはしない。
『そうだ、お盆は帰ってくるん?
おばあちゃん今から楽しみにしてるんよ。』
「あー…、うん。
そうだね、帰ろうかな…」
帰れば、あの生徒と会わずに済む…
夏休みがきても、あの生徒は部活に顔を出すだろう
『本当?
予定分かったら連絡してよ。
何食べたい?
栄養あるもの作らんとね。』
母親の声がどこか遠くに聞こえる。
古志くん…
また、視界には足元しか入らない
悪い癖
僕にはお似合いだ
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