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第34話
1階の居間と廊下からボーンっと時計が1回鳴ったのを区切りに並んで布団に入る。
昼寝をしている間に布団乾燥機をかけていてくれたのか急な来客だと言うのに布団はふかふかだった。
「先生、手貸してください。」
「手…ですか?
はい。」
きゅっとあたたかな手が自分のそれに絡まる。
「古志くん…っ」
「しー。
お母さん達寝てるんだから静かにしなきゃですよ。
ここまま寝よう。」
「あ、でも…」
「嫌?
嫌なら離しますよ。」
狡い聞き方だ。
嫌な筈ない。
「…嫌、じゃ、ないです…」
「はは、嬉しい」
…手汗、大丈夫かな
クーラーの温度下げようかな
中々寝付けず、手にばっかり意識がいく。
「先生」
「は、はいっ」
「すげぇドキドキする。
好きな人と手繋ぐってこんななんですね。」
ぶわっと体温が上がるのが解った。
“好きな人”
“ドキドキする”
時計の秒針がカチカチと時を刻んでるはずなのに聞こえない。
「…っ、…、」
「寝れるかな。」
「…ぇ…」
真面目なトーンで誰に言うわけでもなく言ちた言葉に更に体温が上がっていく。
本当に手汗が…
ドキドキも心臓が五月蝿くて、繋がれた手ばかりを意識してしまい寝付けない。
古志は寝ているのか静かだ。
結局もう2回時計が時を知らせても眠れず、空が白みはじめた頃やっとうとうとと気持ち良い睡魔がやってきた。
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