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第57話
もそもそと食べる相川を一瞥しながら、ザルからまた一口分の麺を箸で持ち上げた。
やっぱ小動物っぽいよな
もさもさした髪型のせいか。
相川が特別小さい訳ではない。
イメージ?つぅのか。
あと猫背なのと。
「古志くん…?」
「うん?」
「そんなに見られると、食べにくいです…」
「いや?」
「……いや、と言いますか…恥ずかしいです」
ふぃ…と視線を逸らされなんだか新鮮な気持ちになってくる。
女の子達は嬉しそうな顔をするから。
ニヤニヤと緩む口元をそのまま、相川をからかう事に決めた。
この年上の恋人はからかいがいがある。
「さっきは自分からいやらしく腰振ってたくせに」
「…っ!?」
「えっちだったなぁ」
「こ、ここっ、壁…薄いんですよっ」
古志はまた一口麺を口に運ぶ。
その口元はニヤニヤと笑みを浮かべる古志は楽しそう。
「さっきもそれ言ってましたよね。
先生のいやらしぃ声聞かれたら困る?
困るならしたくなっちゃうなぁ」
「こ、古志くん…」
「俺、光輝さんの困った顔大好き」
甘ったるい笑顔に相川が結局はなんでも許してしまうのを知っていてやっている辺り狡いよなぁと思いつつ、困った顔も好きなのは本当だ。
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