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第68話

スマホのシャッター音が右から左から、背後から聴こえてくる。 こんな格好のまま不浄の箇所さえ写真に収めて何が楽しいんだろう。 綺麗な顔立ちをしている古志や同僚の長岡なら分かるが、相川は平々凡々。 どこにでもいる、いや寧ろ地味な顔立ちだ。 身体だってそう。 でも、分からないけど古志が楽しそうならそれで良い。 とにかく今は動けないし、古志が満足するまで許されないのだから大人しくしておくに越した事はない。 「はぁー、えっろ。 泣かせたい顔してますよ」 「……ま、だ………ぃたい…」 「うわ、その顔ヌける」 とうとう溢れた涙を古志は指摘した。 顔も成績も良くてなにか欠点はないのかと思っていたが、この性癖だろう。 人間らしい所があって良かった。 良かった……のだろうか。 パシャっと顔を撮られ別の意味でも青ざめていく。 腹の奥が変な動きをはじめた。 これは、奥まで薬が効いてきている証拠だ。 蠕動運動がこれ以上激しくなれば、トイレに行くのさえ難しくなってしまう。 早く満足してくれと腰をあげた。 「うん? そんなやる気出してどうしたんです。 もしかして、動画も良いんですか?」 「……ぁ…そ、……な」 目の前にしゃがみこむと、にっこりとまるでアイドルの様に甘く微笑んだ。 「ね、せんせ」

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