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第69話
規定の時間まで写真や動画を撮られ漸く排出を許された。
力の入らない足でよたよたと畳を踏み締めるが痛みが強くてすぐに蹲る。
生徒に抱かれなんとかトイレへとやって来たが、足が震えてもう動けない。
「……ごめ………んな、さ…………も、う…」
ボロボロと涙を溢しながら排泄をした。
人に見られながらなんて子供の頃以来の羞恥。
それに、自分の半分程しかまだ生きていない子供に見られたんだ。
生徒に。
それを3度も繰り返され涙も止まった。
恥ずかしい事には代わりないのに、人間は逞しい生き物だ。
疲労と、従順したなんて思いたくはないがそれに似たものだろう。
縛られた手ではケツを拭く事が出来ないだろと言う古志になんとか許しを貰い自分で試行錯誤しながら綺麗にした。
古志はつまらなそうにしていたが“ま、まだ最初だしいっか”なんて後々がこわい発言をしていたのを相川は聴き逃さなかった。
「終わりました?」
「はい…。
あの、手を洗いたいのですが……」
「ん?
あぁ、そっか。
それが洗ってあげるから手貸してください」
「でも……綺麗では、ありませんし…」
「そんなの分かってますよ。
だから手を洗うんでしょ。
ほら、解くつもりはありませんから素直に手を出してください」
拘束を解く事なく自分の手で泡立てた石鹸で小さな子供の手を洗うように綺麗にしてくれた古志は、たまに近所のご老人の犬や猫のシャンプーを代わりにしているんだと教えてくれた。
猫は大変だけど、犬は水遊びだと思って良い子が多いなんて上機嫌で話す。
こういうところは子供らしくて年相応なんだと安心する。
学校でも友達や女の子に囲まれ楽しそうに笑っているが、こちらの顔も良い顔だ。
安心したのも束の間、ひ弱な相川はすぐにごろんと床に押し倒された。
「今までのは全部準備なんですよ。
分かってるんですか」
「……じゅ…んび…」
そういうプレイではなく、ただの準備…?
まだ始まってもいなかった…?
嘘だ……と信じたい。
でも、古志の顔は嘘を吐いているようには見えない。
机の上でどんぐりが可愛らしく鳴いた。
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