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第70話

「ローション使いますけど、そんな力まないでください」 「洗わないとっ、あ……ぁ…」 「大丈夫大丈夫。 ちんこからバイ菌が入って熱出したら面倒見て貰いますから」 「ほん、とっ……に、だめ……」 駄目だと口から出てくるのに、身体は腸内に入ってきたたった1本の指を嬉しそうに銜え込む。 勿論、嬉しそうになんてのは語弊だ。 排泄物が漏れないように締まるだけの器官。 こんなのただの整理現象だ。 でも、本当にそうなのかの様に身体を“ナニか”が駆け巡る。 「こし、く……っ」 「分かりました。 じゃあ、今日はもう終わりにしましょうか。 その代わり、次もまた浣腸からやり直しですよ」 「え……」 「また1から浣腸して綺麗なのが出るまで繰り返しましょうね」 指を抜きながらそうしましょうかと離れていく身体を、思わず追い掛けた。 しっかりとした腕を掴んで、顔を見るも優しく頬笑むばかり。 本当にやめるのだろうか。 「おしまいだよ。 今、腕も解くから待ってくださいね」 「ちが……あ、あの…あ…の…………し…て、ください……お願い、します…」 「うん?」 本屋で見掛けた男性アイドル雑誌の表紙みたいな笑顔を浮かべるだけで、古志はなにもしてこない。 なんで…… 「……お願い、します…お願いです……して、欲しいです…、」 「だから、今解どくよ」 「違う……違います………、あの……あ、の…あ……せ、……せ、く…………す、…………して、ください」 恐る恐る古志を見ると、一等綺麗な笑顔で微笑んでいた。 「はぁい」 嵌められたと理解するには遅すぎた。

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