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sideアキ: いざ、ハルの学園へ! 1
「アキ、本当に大丈夫……? 僕のふりなんてきつくない?」
「大丈夫だってハル!俺にまかせて? ハルの婚約者がどんな奴かちゃーっんと見てくるからな? で、そいつが弱い奴だったり性格最悪な奴だったりしたらハルの代わりにビシッとしごいてくるから!」
「あははっ、アキ本当にやってそう!笑顔でしてそう」
「まぁそりゃハルっぽく満面の笑みでやってくるよ?
だから、そんな心配しないで。な?」
ベッドに座るハルの頭をよしよしと撫でると、その手を引っ張られてハルにぎゅっと抱き締められた。
「うん、わかった、もう心配はしない。アキのことだしバレるなんてことも絶対ないってわかってる。
でも……アキ、本当にごめんね?」
「はい出た、ハルのごめんね攻撃。
大丈夫だって、ハルは何も悪くないよ。今回のは父さんと母さんが決めたことだけど、俺もハルの婚約者がどんな奴なのか気になってたから丁度良かった。
俺の大事な大事な片割れをまかせられるのか、心配で心配で……」
はぁぁとわざとらしくため息を吐くと、クスクスとハルの肩が揺れる。
その肩に顎をのせて、俺もハルの背中に腕を回してお互いに抱き締め合った。
「ねぇ、アキ?」
「ん?」
「全寮制だけどさ、たまには帰ってきて学園のこと……いろいろ話して欲しいな」
「当たり前じゃん、ハルが言うなら毎日でも帰ってくるよ?」
「それは流石に駄目だって!アキにできた友だちのこと、先生や先輩のこと…婚約者のこと、も……
たくさんたくさん、話聞きたいな」
「んっ、まかせとけ。めいいっぱい話してやるからな」
「本当に、気をつけて……」
「うん、ハルも」
抱きしめ合ったまま、おでこをコツンとぶつけてお互いに目を閉じて。
出発の時間が来るまでそうして互いを感じあって、俺は屋敷を出たーー
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