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『ハルに女性を守ってもらおうなんて考えてないの。あの子は身体も弱いし、寧ろ男性に守ってもらわなきゃ』
『こういうのは早い方がいいと思ってね。うちの家に見合う子を探していたんだが、前々から私たちの会社と提携を結びたがってる会社がいてな。
そこの息子さんがハルの1つ上だし、成績も優秀で容姿も端麗なとても良い子なんだ』
『実際あちらの会社で息子さんと会ったのだけれど、申し分ない程の子だったわ。そこで、ハルとその息子さんとの結婚を約束に提携を結ぶことにしたの。
あの子が側にいればハルもきっと幸せだわ。でも……』
『たった一回、それも会社の中で少し話しただけで彼の全てがわかる訳が無い。あの子にハルを任せて本当に大丈夫なのか、本当に問題はないのか、私たちはまだ疑っている』
『ハルは今年から高校生。その息子さんと同じ高校へ行かせようと思っているのだけど、そこは男子校でしかも全寮制なの。
ずっとベッドにいて外へ出ていないあの子がいきなり全寮制の学校に行くのはとても大変なことだし、全てが初めてで環境の変化に身体の調子が悪化してしまうのではと思うと、怖くて怖くて……』
『しかし行かせない訳にはいかない。息子さんは本当に良い子だ、この話が無かったことになるのはとても惜しい。
だから、お前がハルとなりハルが少しでも快適に学校生活を送れるよう環境を整えなさい。ハルの友人関係・同室者・先生方・その他全ての人間関係…そして息子さんとの関係も、お前が全て整えてくるんだ』
『月に1、2回程通院という理由で屋敷に帰ってきてもらうわ? そこで学校のことを報告してちょうだい。貴方の報告次第でハルを通わせる日を決めるわ』
『不粋な報告は許さないよ。
ハルが心から快適に過ごせるよう、全力でやりなさい』
『私たちの大事なハルの為なの。
わかったかしら? アキ』
ーーはい、母さん、父さん。
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