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sideアキ: 初めまして、寮監さん 1

(取り敢えず、入学式までまだ1週間もあるし寮だな……) 大きめのボストンバッグをスーツケースに乗せゴロゴロしながら、パンフレット片手に寮へ向かった。 「しっかし、やっぱ広いなぁ……」 綺麗に水飛沫をあげる噴水。 色とりどりの花がたくさん咲く花壇。 剪定を施された木が至る所に植えられていて、学校というより誰かの屋敷のような…… (ハルだったらこれ初っ端から絶対迷うな) 『アキー迷っちゃった、此処どこだろう?』 あれー? あれー? と右往左往してるハルが目に浮かんで、クスリと笑ってしまう。 (次屋敷帰るまでに、簡単な見取り図書いとくか) 学校始まるまでに何処に何があるか把握しとこうかな。 明日にでも歩こう。 よし!と思っていると、目の前にホテルのような建物が見えてきた。 「……は? あれが寮なの? やば………」 (やっぱ金持ち校は違うな……) ほぉぉ、とため息が出るほど見事な外装のホテル、もとい寮。 門の所には〝学生寮〟と似つかわしくない表札が付いている。 「まじか……」 (ここの庭にも噴水とかあんのかよ、どんだけ?) この学校の豪華さにドン引きしながら、取り敢えず寮に入るため扉に手をかけた。

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