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「こんにち、わ……」
(う、わぁ……)
まず目に飛び込んできたのは、大きなシャンデリア。
細かい装飾なのにすごく綺麗に手入れをされてて、美しく光を灯していた。
(すごい綺麗…キラキラしてる……)
俺の屋敷にもシャンデリアはあるけど、それとはまた違った感じで、本当に綺麗で。
思わずポーっと見惚れてしまってーー
クスクスクス
「っ!?」
(え、)
控えめな笑い声にハッと振り向くと、長い髪を左で結び肩から流している優しげな雰囲気の人が立っていた。
「驚かせてしまって申し訳ありません。
学生たちが何気なく通り越してしまうシャンデリアに見惚れている貴方が可愛くて、つい……」
「か、かわっ!? ゃ、ぇと、そのっ……」
(シャンデリア見慣れてない人って思われたかな!?)
ワタワタと手を動かして「これは、あのっ」と必死に挽回しようとする俺の頭に、その人がポンッと手をのせる。
「ふふふっ、別に貴方を馬鹿にしたりとかそういう目で見ているわけではないんです。ただ、貴方の家にも沢山あって見慣れているでしょうシャンデリアに、目をキラキラさせれて見惚れてくれているのが、本当に本当に可愛くて…ただそれだけなんですよ?」
変な誤解をさせてしまいましたね、ごめんなさい。
優しく笑いながら、その人はサワサワと頭を撫でてくれる。
(ぁ、手、気持ちいい……)
ーー幼い頃から、両親に頭を撫でられるのはいつもハルだった。
『今日は体調がいいんだね』
『お夕食全部食べれたのね、偉いわ!』
そう言って、母さんや父さんに頭を撫でられるハルを、いつも遠くから見ていた。
俺だって、今日はいつもより元気なんだよ?
今日は何も残さずに頑張って食べたの。
(だから、)
俺も、ハルみたいに、あたま撫でて……?
『アキすごい!今日は全部食べれてる、えらいねっ!』
(ハル……)
誰も気付いてくれない、そんな時でもハルはいつも気付いてくれて。
俺と同じ小さな手が、頭を撫でてくれて……
嗚呼、どうしよう。
さっき屋敷を出て、まだ学校に着いたばかりなのに。
(ハルに、会いたいよ……)
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