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(うわぁ…いい天気だ……)
んー!っと伸びをして、ゆっくりと歩き始めた。
「はぁー、しっかし本当広いな……」
学校の敷地に標識立ってるって普通?
いやきっと普通じゃない…よ…な……?
とりあえず行けるとこまで行って帰って来ればいっか。
早く屋敷を出たせいで、入学式までまだ日にちがある。
「っし、ゆーっくりやってくか!」
まずは校舎周りから!
寮からハルの足で10分くらいのところに校舎があった。
「はぁー、でかい……」
校舎の中は休みだからまだ入れない。
(校内は、学校が始まってからだな……)
校舎の隣に体育館とグラウンドがあって、その近くには森林がある。
「森林…校舎の庭的な?」
行ってみると、不気味な感じではなく木漏れ日がすごく綺麗で落ち着く……
そんなゆったりした、雰囲気の柔らかい場所だった。
(うわぁ……良いところ)
風がサワサワ吹いてきて葉っぱがサラサラ揺れて…
「ここ、好きだなぁ……」
ハルも、きっと好きになると思う。
「っ、う、わぁ…!」
もう少し奥へ行くとまた噴水があった。
この学校本当に噴水多すぎだろ……
でも、ここの噴水は他とは違ってすごく自然な感じで。
こんな奥まで掃除をする人が来ないのか、蔦が絡んでいて所々ヒビが入っている。
白い石でできてるせいなのか日に焼けて黄ばんでいて、でも嫌な感じではなくて。
寧ろ
(落ち着く……)
他と違って立派な水飛沫を上げていない、静かな静かな噴水。
綺麗な学校にポツリとある、忘れられたようなところ。
それが、すごく心地よくて。
(なんか、屋敷思い出すかも)
うちの屋敷にも似たような噴水があった。
広い庭の端っこにある手入れされてない噴水。気まぐれにしか水を出さないから〝気まぐれさん〟って呼んでて。
いつもいつも両親やメイドの目を盗んではハルと一緒にそこで遊んでた。
「クスッ、懐かしいなぁ」
噴水に近づいて、土を払って淵に腰掛けてみる。
そして、そのまま目を閉じた。
(いろんな音、聴こえる…)
嗚呼、気持ちいいな……
『…っ、ーーー!』
『ーー? ……』
「………ん?」
(何か、話し声? が聞こえる……)
それと共にガサガサと足音も近づいてきて。
「ほら、カズマここに噴水あるんだよ!
おれ昨日見つけtーー」
木の影から、俺より少し低い身長の奴がピョコッと出てきた。
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