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sideアキ: 初めまして、お友だちさん 1

「……まじか…………」 チュンチュンと小鳥が鳴く、とてもいい朝。 ーー結局、佐古が戻ってくることは無かった。 (おいおい、これって規則違反なんじゃないの……?) 待ってたけど眠くなって、明日の朝一で挨拶すればいっかなって思ってた…のに。 「まだ学校も始まってないのに早々規則破りって…櫻さんまじかよ……」 櫻さんのことは信じてた、信じてる本当に。 でも…… これは流石に、まずいんじゃ……? 「…まぁ、とりあえず今日は学校の敷地内歩いてみるかな」 (何処に何があるか把握しとこう。 ハルに見取り図も書きたいし) 細身のジーンズにTシャツ、薄いグレーのパーカーを羽織ってカードと財布を持つ。 「うん、こんなもんかな……行ってきますっ」 ピッと鍵をかけて、少し足取り軽く廊下を歩いた。 (探検っぽくて、何かワクワクする……) 「ふふふっ、ん〜♪」 「お早うございます、小鳥遊くん」 「っ!?」 ガバッと後ろを向けば、ニコニコしてる櫻さん。 (き、昨日もそうだけど気づかなかった……) 変な鼻歌聴こえたよな今、あぁもーまたかよ! カァァァッと顔が赤くなるのがわかる。 「ぉ、おはようございますっ、櫻さん」 「クスッ、再び驚かせてしまってすいません。今日は何やら楽しそうですね、お出かけですか?」 「はいっ! 何処に何があるか知っときたくて……」 「なるほど…よろしければ案内しましょうか?」 「ぇっ! ぃ、いや大丈夫です! 櫻さんお仕事で忙しいでしょうし。それに、何だか探検しに行くみたいでワクワクしてて……なので」 お気持ちだけで、本当に。 そう言うと、やや残念そうに微笑まれた。 「そうですか、わかりました…… でも、もしも敷地内で迷ったり何かあったりしたら遠慮せずにカードで知らせて下さいね? 何処へでも直ぐに向かいますので」 ハルのカードには特別にGPS機能も備わっているらしい。 カードの左下付近に小さく膨らんでいる部分があって、それを押すと櫻さんやハルに関わる先生方のスマホが鳴る仕組みなのだそうだ。 (先生方からしたら、迷惑極まりないだろうなぁ……) でも、ここまで用意周到にしてくれて本当に有り難い。 心配そうな櫻さんに笑顔で「はいっ」と返事をし、足取り軽く寮を出た。

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