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「…っ、僕が、イロハの腕を振り払っちゃったから」 「違う」 「ぇ?」 (そんな…俺それ以外にも何かやっちゃった? 嘘……) グルグル、さっきのことを思い返すけど全くわからなくて。 「…ごめっ、わ、かんないっ」 「そうか…… 俺とイロハは、ハルが速く歩けないのを理由に一緒に行くことを断られたのが悲しいんだ」 「え……?」 (な、んで? だって普通そうでしょ?) 「時間がかかるのが嫌だったら、初めから探索じゃなくて案内してる」 「っ、でも、僕普通の探索より時間かかっちゃうから」 「ーーそれが何なの?」 それまで静かに俺らのやり取りを聞いてたイロハが、ポツリと漏らす。 「普通の人より時間がかかる、それが何なの? 時間かかるからおれたちとは一緒に行かないの? なんで?」 「だ、だって、2人みたいに歩けないし…… 迷惑にーー」 「っ、迷惑かどうかなんてこっちが決めるものなの!!」 ぎゅぅぅっと痛いほど手を握り締められた。 「もしハルとおれが逆の立場で、おれがそうやってハルを断ったらどう思う? 嫌だなって、それくらいどうって事ないのにって、そう思うでしょ!? おれはっ! おれたちは、そんな事でハルを面倒いとか思わないしっ、腕振りほどかれたくらいで傷つくようなやわな奴でもないしっ、怒る事もないっ。 …寧ろ、ハルが怒っていいんだよ? もっとゆっくり歩いてって、僕の事もっとよく見てって、そう言っていいんだよ?」 「そんなこと言えないよっ! だって、2人とも本当にいい人だから……迷惑とかっ、かけたくないし」 「だから!迷惑でも何でも無いのっ! ハルが無理しておれたちに合わせたり遠慮したりするほうがもっと迷惑なの!!」 「俺も、その意見。 多分ハルは俺たちに気を使われたりするのが嫌なんだと思う。けど、それは俺たちが勝手にしてることだから。俺たちが好きでやってるだけだから、ハルは何も気にしなくていい。寧ろ、もっといろいろやってほしいこととか、我儘言ってほしい」 「それ!我儘もっと言ってハル!! 全然足りないんだけど!?」

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