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「……また、こんなことになることあるかも…」
「うん、いいよ?」
「また、口より先に身体が動いちゃうかも……」
「その方がいいだろ。そういう反射能力?って大事だと思うぞ」
「ぇ……」
「まだ、何か不安ある?」
「また…こうやって、2人の手、離しちゃうこと、あるかも……」
「大丈夫! もしまた今みたいに振りほどかれても、全力で繋ぎにいくから」
「こうやって、な?」
ぎゅっと確認されるように力を入れられる、繋がれた両手。
ーー嗚呼、
(も、逃げ道っ、ないや……)
「本当にっ、ごめん」
「違うよハル。こんな時は〝ごめん〟じゃないよ?」
「……っ、ぁりがと……」
2人が、ふわりと嬉しそうに笑った。
(友だちって、あったかいものだったよ、ハル)
暖かすぎて、いっぱいいっぱいになって、
悲しくもないのに何でか泣きそうになる。
早く、ハルにも教えてあげたい。
「よぅっし! じゃぁ改めて出発だよ! 行こっ?」
元気よくイロハが言って、カズマが笑って
今度はゆっくりゆっくり歩いてくれる。
「ハル、これくらいで大丈夫? もっとゆっくりがいい?」
「無理してないか? 辛くなったらすぐ言えよ?」
ハルの普段のペースより更に遅く歩かれて、そんな心遣いに笑ってしまった。
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