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「そう言えば、学校始まるまでご飯とかどうしてるの?」 「屋敷出る前に少し持たされたんだよね。でも食べ切っちゃって。 パンフレットにスーパーとかコンビニとか書いてるから、帰りにそこ寄ってから帰ろうかなって」 この学園は、学食は学校内にあるだけで寮には無い。 だから、休みの日は自炊するかコンビニなどで買うかしかないわけで。 〝お金持ちだろうとなんだろうと、何かあった時の為に自炊はできるようになるように〟という理事長のお考えなのだそうだ。 「そっかぁ!スーパーは寮の近くだけどコンビニはグラウンドとか体育館とか、学校の近くなんだよね。 どっちに行こっか」 「んー、今日はスーパーがいいかな。 食材買い込んどきたいし」 「了解」 じゃぁこっちー! とスーパーの方に向かって歩き始めた。 「ハルは料理できるの?」 「うんうん、得意だよー」 ハルは屋敷から出れない。 だから、よく2人でお手伝いさんにお願いして料理を教えてもらってて、それが俺たちの遊びになってた。 「2人も得意そうだね」 「おれは料理よりお菓子作りの方が好きだけどね!」 「俺は洋食よりは和食派だな」 「カズマの和食美味しいんだよー!あ、おれたち部屋一緒だから、良かったら食べにおいでよ!」 「ハル、食べれないものとかあるか?」 「んー、あんまり塩気の多いものとか脂っこいのは駄目かな… でも和食って基本体にいいし、多分大丈夫と思うんだけど……」 「成る程…… 俺たちも身体に負担のかからないレシピとかいろいろ調べてみるから、やっぱり来るのはまだ待ってくれないか」 「そうだね、準備してからの方がいいかも! おれもいろいろ調べてとこー!豆乳とか使ってクッキーとか良さそうな気がする、体に良い物だし」 あれはどうだ、これはどうだろうと、そんな話をしているうちにスーパーに着いた。 (うわぁ…いたって普通のスーパーだ。ここにあるのが不自然すぎる……) 中へ入ると、もの凄い数の食材や日用品がビッシリと揃っている。 「わぁぁ…品揃え豊富だね……」 「うんうん!ここは全国からいい食材が集まるんだよ!すごいよね」 「利用者が学生だから値段も少し安いしな。凄く便利なんだ」 「そうなんだっ」 カゴ押したげるー!とイロハに取られて、それに欲しいものをどんどん入れていく。 (入学式まで後1週間くらいだから、多めに買い込んどくかな…まだ時間あるし) いろんなレシピを思い浮かべながらチャカチャカと食材を取っていって。 会計を済ませると、大きなレジ袋3つ分になってしまった。 「俺2個持つ」 「じゃぁおれ1個!」 「いや、僕が買ったんだし僕持つよ!悪いしっ」 「だーめ。 ハル今日ずっと歩きっぱなしで疲れたでしょ? それにもう袋とーった!」 「えっ!?」 「俺もとーった」 「ええっ!?」 ヒョイッ、ヒョイッと目の前から袋たちが消えていく。 「部屋まで運ぶから、ね! 案内して欲しいな」 「うぅぅ……もー、2人がいたら僕何もできなくなっちゃいそう。 でも、有難う」 結局、そのまま俺の部屋まで運んでもらった。 「ハルの部屋、いろんなとこに近くていいねー! 櫻ちゃん流石!わかってるー!!」 「俺らの部屋は2階の223なんだ。ここからは階段使うよりエレベーターに乗って左に行った方が近い。 …が、少し遠いし、これからは俺たちが訪ねる方が良さそうだな」 「だねー!」 それじゃぁ、今日は帰るね!またねー! 玄関に荷物を置いてもらってパタン、とドアが閉まる。 (何だか、いろんなことがあったな……) 今日は、2人に会えていろんなことを知れた気がする。 噴水の数とか、敷地内の設備の場所とか、 〝友だち〟の在り方、とか…… 「……ぉし、取り敢えず冷蔵庫に入れてくか」 (ハルに伝えたいことが、いっぱいできたよ)

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