28 / 533

sideアキ: 今度こそ初めまして、同室者…さん!?

歩きまくったから先に風呂に入って、さっぱりしてからキッチンに立った。 (何作るかなぁ…野菜が新鮮だし、初日は野菜炒めからかな?) 野菜を切って肉は少なめにバランスを考えて、油を少なめにひいたフライパンに入れてさっと炒めていく。 「ん〜んん〜〜♪」 (今日は本当にいろんなことがあったなぁー……!) 初めて友だちができた! そのことに浮かれてて 忘れてた、こいつの存在を。 ーーピッ ガチャ 「っ、え……?」 (今、ドア、開いたよ、な……?) そうだった、この部屋にはまだ住人がいた。 鍵の開く音が聞こえた…ってことは、 「っ!」 (佐古だ!!) 直ぐに火を止めてさっと手を洗ってエプロンで拭きながら、小走りで玄関に行く。 (やっと会える……! 佐古とも、友だちになりたい!) 昨日も待ったけど会えなかった。 まだ挨拶すらしてない。 イロハより、カズマより、まず先にこいつに挨拶すべき。 それくらいハルに関わる奴。 どんなやつなんだろう、2人みたいにハルと友だちになってくれないだろうか……! ワクワクしながら玄関に着くと、靴を脱いでる赤い頭。 (ん、?) 赤?? …………赤い、髪……だ、と? (いや待て…先ずは挨拶、挨拶から……) ゴクッと唾を飲み込んで、キュッとエプロンを握る。 「ぁ、あのっ、佐古くんだよね……? 初めましてっ、僕ーー」 スッ (ぇ、) 話してるのに隣をスッと抜けて、そのまま部屋の方に歩いて行かれた。 「っ、待って!」 「……ん」 追いかけると、もう自分の部屋のドアを開けようとしていて。 背の高い、ガッチリとした体つきの、強そうなやつ。 燃えるように赤い髪がとても綺麗な印象。 静かな目にじぃっと見られて、居心地が悪くなった。 「あ、の……ぇと」 (落ち着け、落ち着け…) 取り敢えず笑って、自己紹介をーー 「あー、もう知ってるから。いい」 「っ、ぇ……?」 「櫻さんたちにもう聞いてる。俺外行くしこの部屋帰ってくることあんまねぇから、好きに使えば?」 じゃ、とそのまま部屋に入ろうとする。 「ぁ、待って!」 「……んだ、まだ何かあんのかよ」 じろ、と見られて「うぐっ」と言葉に詰まる。 (っ、負けんな……) 「い、今、夜ご飯作ってるんだよねっ。良かったら一緒にどうかなっ?」 「…………わり、いらねぇわ。じゃ」 バタン、と佐古が部屋へ入って行った。 (……は?) え、 な ん だ こ い つ は 。 ポソッ 「まじかよ………」 『根はとてもいい子なので安心してください』 あれが? (何処がだよ櫻さん……) ってか、こんな学園にあんな奴いんの? 初めて友だちができて、浮かれて過ぎてた。 (……え) これから、どーなんの?

ともだちにシェアしよう!