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sideアキ: 佐古ヒデトという奴 1
「佐古くん?うーん……」
あんまり知らないなぁー。
歩きながら、イロハがうんうん唸る。
朝起きてみると佐古は既に部屋には居なくて。
一応朝ごはんにと佐古にも軽いサンドイッチを作って寝たけど、それは食べられてはいなかった。
今日も2人と、またゆっくり昨日歩かなかった場所を歩く。
「イロハも知らない?」
「うーん…名前は知ってるけど、それだけかなぁ……カズマは?」
「赤い髪の奴だよな?」
「うんうん」
「俺もあまり知らないが、パーティーでは会ったことがないし恐らく普通の家の奴なんじゃないか?」
「だねー〝佐古〟って知らないし。 でも、それにしてはおれたちと同じ中学からの持ち上がりなんだよね」
「学校では誰かといるのを見たことが無かったな」
「そうだね、いつも1人でいたねー」
「な、るほど…」
(ますます分からない……)
普通の家なら何でこの学校に? しかも中学から?
特待生なら納得がいく。
でももしそうなら、寮の部屋は7階なはず。
(あいつは、本当に何者なんだ……?
ってか大体、昨日も今日も俺のご飯食べてなかったし何なんだまじ… あーなんか腹立ってきた……)
せっかく同室なんだから仲良くしようとしてるのに、向こうにその気が無いんならこっちだってもう知るか。
もう絶対あいつにご飯なんか作ってやらない、食材が勿体無い!
それに俺が自己紹介しようとしたら「もう知ってるから」ってなんだあの態度は!
あーもう本気で腹立ってきた、知らない!!
「……ハ、ハル?どうかしたっ?」
「うん? んーん何でもないよ?」
そう? な、なんか一瞬黒いのが見えた気がした、けど……
んーん気のせいだよっ?
そ、そっか、そうだよね!
あははははっ。
「そう言えば……」
「は、はいカズマさん何でしょう!」
(あ、逃げた)
「ハルの部屋を決めたのも櫻さんだし、多分同室者も櫻さんが決めたんじゃないのか?
こういうのはあの人に聞くのが1番な気がする」
「あ、そっか成る程!」
「やっぱりそうだよね……」
「この後聞きに行くか?」
(どーするかなぁ……
実際もう俺は関わる気ないしあいつも無さそうだし、どうでもいい気する、けど)
ここまで疑問が残るのも、何か後味が悪い。
「う、ん…そうしようかな。帰りに寮監室寄ってみるよ」
「おれたちも付いて行っていい? ハルの同室者のこと知っときたい」
「うんうん、もちろん!」
じゃぁ今日の探索は早めに切り上げよう!ということになった。
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