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「佐古くん、ですか」
夕方くらいに櫻さんを訪ねると、「どうぞ」と優しい笑顔で寮監室に入れてくれた。
「はい。あまり部屋にいないみたいだし、どんな子なんだろうって」
(ってか部屋にいない以前に、髪の色とかいろいろ気になるけどな!)
「俺たちは中学も一緒だったんですが、あまりよく知らないので…それで一緒に聞きに来ました」
「それに、ハルの同室者のこと知っときたくてっ。ハルのこと心配で、佐古くんとも仲良くなれないかなって!」
「成る程……君達は矢野元くんと丸雛くんですね?」
「「はい」」
うんうんと頷いて、櫻さんはニコニコして俺の方を見る。
「小鳥遊くん、良いお友だちができましたね」
(友だち…!! 俺たち、ちゃんとそうやって見えてるのかな……!)
嬉しいっ!
佐古のことでモヤモヤしてたのがパァッと明るくなって、俺もニコニコと櫻さんに「はいっ!」っと返事する。
その途端、ピシッと3人が固まった。
「……?」
「っ、ぁ、いえ、その……」
お、お茶持ってきますねっ!
パタパタと櫻さんがキッチンの方へ消えてく。
「…今のもキたな」 「キたね」
「んん?」
心にね、キたんだよハル。
うん、わかんなくていいよ、ね!
(またよくわからない話ししてる……)
少し経って櫻さんがお茶とお菓子を持って戻ってきた。
「少しお話しが逸れましたね。
佐古くんの事を聞きに来てくれたんですよね?」
「はい」
「そうですか……
先ず、私は3人にお礼が言いたいんです」
「お、お礼?」
何の?
「はい。佐古くんに、
……佐古ヒデトくんに興味を持っていただいて、本当に有難うございます」
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