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何だこいつらは、何で俺の名前を知ってるんだ。
「あ、こちらはカズマとイロハ。僕の友だちなんだ!」
固まってる俺に気づいたのか、慌ててあいつが紹介する。
「初めまして佐古くん!どうぞよろしくね?」
「よろしく、佐古」
「………」
いや、よろしくする気ねぇし。
(つかどーなってんだ……)
テーブルに置かれたたくさんの食器。
台所にあるいろんな種類の鍋や食材。
なんだこれは?
「…ここで何してんだお前ら」
「ふふっ。実はね、今からここで〝料理教室〟するんだー!」
「……は?」
楽しそうにニコニコと答えるあいつ。
言ってる意味がわからない。
「そうなの! おれたち3人とも得意料理が違うからね、みんなで教え合おうってことになって!
あ、おれはお菓子が得意なんだよー!」
「俺は和食で」
「僕が洋食なんだよね」
(いや、訊いてねぇけど)
まぁでもなんとなくは集まってる理由は分かった。
要するにこの部屋であいつがダチたちと料理教室?をやるってことだよな。
(俺関係ねぇな)
「ん? 何処行くの佐古くん」
部屋行くかと回れ右した俺を、あいつが止める。
「佐古くんも参加するんだよー。
せっかく今日早く帰ってきたんだし、一緒にしよう?」
「は?」
「そうだよー!おれたちと一緒にしよう!!」
「佐古はどんな料理が得意なんだ?」
わくわくした様子の3人。
(何でナチュラルに俺が参加する流れになってんだ…)
意味わかんねぇ……
「…悪りぃけど俺やんねぇし、部屋行くかrーー」
「んんん??」
「っ、」
(くっそ…お前その笑顔ずりぃぞ!)
あいつに一昨日見た黒い笑顔を浮かべられて、たじたじになってしまう。
「っ、俺料理できねぇからっ!だから得意料理とかもねぇし」
「それなら尚更一緒にやろ!ほら、僕佐古くんのエプロンまで用意してるんだよー!」
は?
俺の分の、エプロン…だと……
(ま、さかチューリップとか付いてねぇよな!?)
バッと広げられたそれを念入りに見ると、ただのシンプルなワインレッド。
よかった、何も付いてねぇ。
「あれ? やっぱりチューリップ付けて欲しかった?そっかそっか!実は丁度これと一緒にチューリップのアップリケ買ったんだよね。
今からアイロンで付けてこよっkーー」
「っ、やめろ!」
呪いのような恐ろしいことを言われ、慌ててあいつの手からエプロンをもぎ取って。
(っ、しまっ)
思わず、受け取ってしまった……
呆然とあいつを見ると、優しく笑っていて。
「ふふっ、良かった受け取ってくれて。
ーーそれじゃぁ始めよっか」
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