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side佐古: クラス分け 1
今日から学校が始まる。
クソ真面目なハルの荷物を持ってこいつの隣をゆっくり歩いてる俺なんて、一体誰が想像しただろうか。
入学式なんかサボるつもりだった。
クラス分けも見に行くつもりはなかった、なのに……
だが、こいつの隣にいるのも悪くないと思ってる自分がいる。
「ん〜、ふふふっ、楽しみだねぇ佐古くんっ」
ふわふわ歩いてるこいつは、本当に楽しそうだ。
「あれっ、櫻さんいるよ。イロハたちも一緒にいる!」
前方を指さして「おはよーっ」と元気に挨拶する。
「あ、ハルたち来た!ハルー!佐古くんー!おーはーよー!!」
「おはよう」
「お早うございます。小鳥遊くん、佐古くん」
「おはようっ、2人も出るの早いねー」
「ハルきっと早いと思って、先に待ち伏せしてた!そしたら櫻ちゃんいたから話してたんだよねぇ!」
一緒に学校行こ!
ぎゅっと丸雛に抱きつかれて、こいつは本当に嬉しそうだ。
「……ふふふっ」
「…? 櫻さん?」
何故か俺の方を見て、櫻さんが幸せそうに微笑んでいた。
「ーーいえ、私のカンは当たっていたな、と。
皆さん、制服よく似合ってますよ」
(カン?)
一体何のことだ? と櫻さんを見ても、ふふふと笑っているだけ。
「本当に? 櫻ちゃん有難うー! ……って、佐古くんちゃんとボタン止めなさいー!ネクタイも!」
「あーうっせーうっせー。服に関しては絶対ぇ直さねぇぞ」
なっ!何で!? 今日は式典なんだよー!?
まぁまぁその辺にしといてあげなよイロハっ。
むー!ハル優しい!こういうのは初めが肝心なんですー!
俺の着崩し方にいちいち文句を言ってくる丸雛を軽くあしらって、先に歩く。
「あ、佐古くん待ってっ、行ってきます櫻さん」
「行ってきます」
「行ってきますーまたねー!」
後から3人がわいわい着いて来る。
チラリと後ろを振り返れば、幸せそうに見送ってる櫻さんがいて。
何故か胸がギュッとなって、
気恥ずかしさにあいつの重い鞄を持ち直した。
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