61 / 533
sideアキ: 初めまして、担任さん 1
ガラッ
「てめぇら、席つけ」
「あっ、先生来た!またね!」
さっきのホストが入ってきて、バタバタとみんなが席についた。
「おし早ぇな、いつもそんくらい早く行動しろ、いいな。じゃぁ軽くホームルームするぞ。
俺の名前はーー」
カツカツカツ……
真新しい綺麗な黒板に、白いチョークで書かれる美しい文字。
「梅谷 シュントだ。このクラスの担任になった。担当は現国、てめぇら赤点取ったら許さねぇからな」
ま、このクラスじゃ無さそうだけどな。
あーしっかし式典肩凝ったなぁ……とゴキゴキ肩を回す先生。
(先生…ゆっる)
「因みに俺はれっきとした教師だ、ホストじゃねぇからな」
自分で言うのか!
ポツリ
「かっこいぃ………」
「ぇ」
隣を向くと、目がハートマークのクラスメイト。
(まじかよ……)
学校の特色か。
本当大丈夫なのかよこの学校、ハル安心して通えるかなぁ…
(婚約者から担任から生徒まで、初日からなんなんだ……)
「ま、今日は入学式とホームルームで終わりだからこれで終了だ。明日に備えて今日は真っ直ぐ帰れ。いいな、くれぐれも問題だけは起こすなよ」
クラスの自己紹介は各々で適当にやっとけ、他のクラスはまだ終わってねぇだろうから静かに帰れよ。
「じゃ、また明日」と言って、先生は気だるげに出て行った。
教室がザワザワと、またうるさくなる。
(ほ、本当に軽くホームルーム終わった…)
「すっごい先生だねぇ……」
「うん……」
(不安しか無いんだけど…)
「取り敢えず、俺たちも帰るか」
「うん帰ろう!わーそれにしても早い早い、これから何しよっか!」
「イロハ、さっき先生言ってただろ部屋戻るぞ」
「えぇーそんなの勿体無いよ!ね、佐古くんハル!」
「俺は帰って寝る」
「僕も部屋でゆっくりしようかな」
「えぇー!?」
(もう、今日は休みたい……)
いろんなことがあり過ぎて、キャパが崩壊しそうだ………
ガラッ
「そうだった、小鳥遊ーまだいるか?」
「え?」
「いるな、ちょっと付いて来い」
(先生?何だろう……)
「ごめんみんな、先に帰ってて?」
「え、いいよ待っとくよ!」
「でも、」
「あー、俺が送って帰るから。
それなら安心だろてめぇら」
丁度寮行く用事あるし、さっさと行くぞ。という先生。
「な、何かそういうことみたいだからっ、また明日ね!」
「ぁ、ハル……!」
[side イロハ]
「ねぇハル行っちゃったよ、大丈夫かな……」
「だな…」
どうしよう、守るって誓ったのに。
(初日からこんななんて……っ)
不安になるおれの頭を、落ち着けとカズマがかき回す。
「ね、カズマ…まさかあの先生、ハルに……」
「それは無い」
「佐古くん……?」
さっきから律儀に待ってた佐古くんが、呆れながら俺たちを見てた。
「はぁぁ…ったく。帰んだろ、ほら行くぞ」
「ぇ、ちょ、ちょっと待って、佐古くん梅谷先生のこと知ってるの!?」
何で? いつ知り合ったの? 一体どんな……
「あ?……知ってるも何も…あいつはーー」
ともだちにシェアしよう!