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(いま何時…ってまだ体育大会半ばくらいじゃん)
「……お前、寝てたのか」
「ぅっ、ね、寝てないですよっ!」
「嘘つけ。顔に跡付いてんぞ」
「! うぅぅ……っ」
「ククッ」
そのまま「あぁーあっちぃー……」とドタッとソファに座った。
「生徒会室に何か用ですか?」
「あぁ? 用がねぇと来ちゃいけねぇのかよ」
「いや、そういうわけじゃないですけど……」
(お水持って行ってあげようかな)
キッチンへ向かうため席を立つ。
「会長は行事の主役なのに、こんなとこ居て良いんですか?」
「いぃんだよ別に。俺の出番は暫く回って来ねぇし」
「はぁぁぁ…」とため息をつく会長の前にあるテーブルに、コトリとコップを置いた。
「ふふふ、お疲れ様です」
「……お前、今日の後片付けの計画立ててんだよな」
「? そうですよ」
「ちょっと書類持って来い」
「は、はいっ」
(えぇぇ…あんだけ疲れた言ってんのに結局仕事するのかよ)
少しは休めばいいのに……
「はい、これです」
ソファまで書類を持って行って、ポスッと会長の隣に座る。
「ん」
「一応こんな感じで考えてるんですが……」
「………成る程な。
大筋はこれで問題なさそうだが、この場所。ここ駐車場になってて車が止まってるぞ」
「えっ、そんなの前日の書類には無かったはずですが……」
「当日には何が起こるかわかんねぇぞ。今年は例年より観客が多いらしい。だからこのスペースは潰れてるから使えねぇな」
「そうなんですね…ここが使えないのは困りますね……ちょっとまた練り直します。有難うございます」
(お、教えてくれなかったら大変なことになってた……)
もしかして、これを知らせてくれるためにわざわざ来てくれたのかな…?
「ん。 イレギュラーはそんくらいだな」
「わかりました」
(成る程…どうするかなぁ……)
うーーんと会長の隣で書類とにらめっこしてると、ポスンと膝に何かがのる感覚。
「へっ?」
「膝貸せ」
「ぇ、え?」
「お前計画練り直すんだろ、その間枕になっとけ」
「会長っ、体育大会は……?」
「2時間後」
「??」
「今から2時間後に全校リレーがあるだろ。それまで出番ねぇから。 時間になったら起こせ」
クアァ…と欠伸しながらそのまま目を閉じてしまった。
(う、嘘だろ……)
これは俗に言う〝ひざまくら〟というものでは……
まぁ…でも、前日ギリギリまでバタバタしてたもんなぁ…
考えてる間に、もうスースー寝息が聞こえてくる。
(相当疲れてるんだなぁ……)
ポソ
「いつもお疲れ様です、会長」
(ちょっとだけなら、いっか)
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