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sideアキ: それは、雨が降りしきる日の事
決算締め切り日までの計画を練り直してから、時間が過ぎるのはあっという間だった。
放課後になると直ぐに生徒会室へ行き、会長の机から書類を取ってそれぞれに業務を行っていく。
無駄の無い、必要最低限の会話。
サクサクと進む書類。
下校時刻ピッタリにはキリのいいとこまで確実に終わらせられる、時間配分。
それらを全て完璧にやってのけていた。
(おかげで、半分以上は終わったなぁ)
決算締め切り日までもう日がないが、今のペース配分でこなしていけば、余裕で終わりそうだ。
(良かった……)
締め切り日を過ぎたら、間を空けずに直ぐ期末テストが始まる。
引き続き、業務も勉強も気を抜かないようにしないと……!!
その日は、朝から雨が強く降りしきっていた。
「うわぁ…外すごい雨…… 夏って感じがするねー!」
「これは、今日の体育は室内に変更だろうな」
「そうだね!まぁ暑いよりはマシか!」
入道雲だとかゲリラ豪雨だとか、そんな感じの黒い雲に空を覆われていて…バケツをひっくり返したような土砂降りの雨が降っている。
佐古は、今日は外へ行っている。
「この雨で外の奴らが心配だ。明日には戻るから」と朝早くに出て行ってしまった。
(雨、か…… それも、雲が黒い………)
「………っ」
「ん、ハル? どうしたの?」
「ぁ、何でもないよっ、雨すごいなぁーって」
「そうだな。こんなに降るのは久しぶりなんじゃないのか?」
「学校始まって以来だねー!」
「そうだねっ。ちょっとは弱まってくれないかなぁ……」
だが、そんな俺の期待も虚しく…放課後には雨はもっと酷くなっていた。
「……これは真っ直ぐ帰った方がいいな。イロハ、今日は特に帰り寄るとこないだろう?」
「うんうん、買い出しはこの前やったし大丈夫! ってかこの中帰るの!?確実に濡れちゃうじゃんかー!」
「今日の勉強会は佐古もいないし中止にするか。タイラにも伝えに行こう」
「わかった!」
「ハル、今日も帰りは生徒会だよな」
「ぁ、うんっ」
締め切り日が目前に迫っている今、たかが天気ひとつで休める程、状況は生温いものではない。
「ちゃんと帰りは会長に送ってもらえよ」
「無理そうだったらおれたちが迎えに行くから!」
「ふふっ、有り難う2人とも」
「それじゃ、また明日ねー!」と教室から出て行くのを見送って、俺も生徒会室へ向かった。
歩きながら窓の外を見ると、ザァァッと強い雨と分厚くドス黒い雲のおかげでどんより暗い雰囲気で。
「………っ」
(大丈夫、大丈夫……)
鼓動がどんどん早くなって冷や汗が出てくるのを、ぎゅぅぅっと手を握って何とか抑える。
(今日は、下校時刻が来たら即帰ろう)
佐古も今日は部屋にいないから1人だし、丁度いい。
だから、どうか俺が部屋に着くまでは
(お願い、お願いだから、鳴らないでーー)
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