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sideアキ: 決算締め切り日
「ーーん。よくできている資料だ」
「「有難うございます」」
締め切り日の放課後。
会長と2人で理事長室を訪ねて報告書の提出を行った。
「3年生の先輩方にはテストに集中して欲しいと、今回は2人で作ったそうだね。先輩思いの生徒会だね」
「実は、それは会長の提案なんですよ」
「ほぉ、そうだったのかい? 私はてっきり小鳥遊くんかと思ったよ」
「クスクスッ。僕も提案を受けた時には驚きました」
「っ、その話は今はいいでしょう……」
「はぁぁ…」とため息を吐く会長にふふふと笑いかける
「ーーしかし」
「? 何か?」
「今回は部活動に関しても厳しくしてくれたそうだね」
「えぇ。どうやら前々から虚偽の報告をすることが当たり前になっていたようですので、小鳥遊と一件一件調べました」
「ふむ…成る程。実は、私も前々から生徒会が提出する報告書には疑問に思う点がちらほらあったんだ。だが、いかんせん調べる暇がなくてな……有難う、君たちには感謝するよ」
「いいえ、僕たちはやるべき事をやったまでです」
「クスッ、流石は〝龍ヶ崎〟と〝小鳥遊〟だね。これだけの資料を2人だけで作った事も十分素晴らしいが、何よりこうして悪事を暴いてくれた事に関しても、本当に素晴らしい」
「有難う。今後ともよろしく」と、理事長は綺麗に笑った。
「はぁぁぁ…やっと終わりましたねぇ~」
「そうだな」
あの雷の日から猛ダッシュで期限に間に合わせて、何とか無事提出することができた。
(色々あったけど、今日でようやく終わりか)
「んんー!お疲れ様でした、会長」
「……ん?」
「?どうしたんですk…あ………」
チュッ
「っ!」
「ハハッ、慣れねぇなぁハル」
「う、ぅぅ……いきなりするの反則です、かいっ…
ーーレイヤ!」
「ククククッ」
あれから、なかなかレイヤと呼ばない俺に呆れた会長が「会長って呼んだらペナルティな」とキスをしてくるようになった。
「周りに誰がいる時は、しょうがねぇから許してやるよ」って100歩譲ってくれた…けど……
(く、そぉ……っ)
「まぁ、俺としてはもっと間違ってくれても別に良いんだぜ?」
「っ!も、もう間違えません!」
「クッ、ハハッ。 はいはい」
「落ち着け」と言うように頭にポンッと手を置かれる。
「明日から、放課後はもう残る必要無くなるな」
「そうですね。そして、明後日からはいよいよ期末テストですね」
二日後、ついに期末テストが来る。
バタバタしながら勉強した分を、今日明日でちゃんと復習しとかなきゃ……
「頑張ってくださいねレイヤ。決算締め切りのせいで成績落としたとかやめて下さいよっ?」
「ハッ、誰に言ってんだ。その言葉そっくりそのまま返してやるよ。お前こそ気ぃ抜くなよ、ハル」
「ふふっ、そっちこそ誰に言ってるんですか」
クスクス笑いながら、ゆっくりと寮までの道を歩いた。
「送って頂いて有難うございました」
「あぁ」
そっか、送ってもらうのも今日で終わりなのか。
これまで、道中いろんな話ししながら帰ってきたな……
………ちょっとだけ…寂しいかも……なんて
(って、なに考えてんだよ)
おかしいおかしい、今のやばい。
どうしたんだ俺。
(はぁぁ…早く部屋入ろ……)
「それじゃぁ、失礼します。おやすみなさーー」
ドンッ
「っ、え?」
「ハル」
ドアに体を縫い付けられるように押さえられて、グイッといきなり顎を取られる。
「お前からキスしろ」
「ーーへ?」
「今まで送ってやっただろ? 今日で最後なんだから、何かお礼貰ってもいいだろ」
「そ、それなら他のものをーー」
「駄目だ」
ズイッと更に顔を近づけられる。
「ほら、ハル」
「……っ、ぅ、うぅ…っ」
な、何でこうなるんだ……っ!
レイヤってキス好きなのか!? 何なんだ!?
離して欲しいけど、でもするまで許してくれなさそうで。
(~~~~っ、くそっ!)
「目、閉じててください……っ」
「ん」
ポツリと言うと、素直に閉じられる強い瞳。
(落ち着け、落ち着け俺……)
唇を、くっつけるだけだ。
うんそう、くっつけるだけ!簡単じゃん!!
それがキスするって意味なんだけど、取り敢えず今は置いとく。
ゆっくりと深呼吸をして
「おしっ!」と意を決して少しずつ顔を近づけて
そして、震える呼吸で……ふわりと唇を重ねた。
(こ、これで良いよなっ)
よし、離そuーー
「んぅむ!?」
離れていく俺の頭をグッと固定され、驚いて開けてしまった俺の口内に雷の日のようにヌルッとしたものが侵入してきた。
「ふ、ぅ……ふぁっ、ぁ…ん……んぅ…!」
(ぁ、うそ……っ)
クチュクチュと口内をかき回され、頭がまたボォ…っとしてくる。
「ぅん…ふっ、ぁふ……っ、ふぅん…レ、ヤぁ……」
「っ、ハル…」
抵抗しようとしても、体に力が入らなくて。
(も、だめ……)
立って…られなーー
「ぅ……プハッ、ぁ…」
ギリギリの瞬間で、タイミング良く唇が離れていって。
透明な糸がツゥー…と伸びていて、それをぼぉっと見てしまう。
「はぁ…は……ぁ……はぁ…はぁ……」
涙目になって肩で息をするのを、レイヤが優しく抱きしめた。
「はぁぁぁ……クソ…エロいな……」
「……っ」
(誰の…せいだよ……!)
「ま、これで礼は受け取ったかな」
楽しそうにクククッと喉で笑って、ポンポンと背中を叩いてきた。
「……何ですか」
「ほら、部屋に入れ」
「なっ、誰のせいでこうなってんですkーー」
チュッ
「!?」
「ははっ。たく……隙が多いぞハル」
ニヤリと笑われて「じゃぁな」と会長は立ち去っていった。
(……な)
何だこれ。
最近そうだけど、何か急接近してないか?
『ーーお前の事が好きだ。ハル』
「っ、」
(だ、駄目だ、部屋入ってさっさと勉強しよう!そうだそうだ!!)
期末テストまで後2日。
俺は、余計な事が思い浮かばないようにとにかくシャーペンを動かしまくった。
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