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【夏休み編】side佐古: 内側研修会 1

【夏休み編】 「ね、ねぇ……本当にいいのかなっ」 「ハルに〝来い〟って言われたしな……」 「ぼ、僕……口から心臓出そうですっ!」 「クスッ、大丈夫ですよ。とって食ったりはしないでしょう」 「……………」 一体何だ、この組み合わせは。 夏休み始まってすぐ、ハルに「ごめんっ!ちょっと付き合って欲しいんだけど…」って言われて。 丸雛と矢野元はまだ実家帰らないらしいし、俺も特に予定ねぇからみんなで「いいよ」と了承したはいいが…… (何で、こんな状況になってんだ?) 今、俺たちは生徒会室前にいる。 メンツは俺・丸雛・矢野元・星野、そして月森先輩。 一体…何なんだこれは……… なんも聞いてねぇぞ俺。 何が始まるんだ。 月森先輩…は、確かハルの親衛隊隊長だったよな。 前に挨拶に来られた事がある、悪い奴じゃなさそうだけど…… 「はぁぁぁ……」 (帰りたい……) これ多分、絶対だるいやつだ。 何で俺あの時了承したんだよ…… 「ど、どうやって入ればいいのこれ……」 「の、ノックでしょうか…でも生徒会室のドアをノックするなんてっ、恐れ多いです……!」 「どうしようどうしよう」と話してる丸雛と星野を、楽しそうに見つめる矢野元と月森先輩。 (………ったく……) これは、多分このまま此処にいても誰も動かないやつだ。 「どいてろ」 「ぇ、佐古くん?」 「俺がノックする」 「えぇぇ!?」 「んだよ。てめぇらいつまで経っても動かねぇじゃねぇか。時間の無駄だ……さっさとやるぞ」 意を決して一歩前に出て、着崩した服を直すことなくノックしようと手を前に出した。 と、 ガチャッ 「わぁ、みんな!」 「っ、ハル」 「ふふふ、何か外から話し声が聞こえるなぁと思って。 どうぞどうぞ入って!」 楽しそうなハルがカチャリと扉を大きく開けて、招き入れてくれた。 「う、わぁ……!」 「広い…………」 (これが、生徒会室) 煌びやかなシャンデリアに広々とした空間に、赤い絨毯。 キッチンや仮眠室・シャワー室まである。 (ここ、住めんじゃね?) いや、住めるわここ。 「みんなー、こっち座ってね」 テーブルにお菓子やお茶が準備されてるソファーへ「おいでおいで」と呼ばれて、取り敢えず言われた通りにおずとずと座る。 その向かい側にハルと会長が座った。 (会長……こんな近くで見んの初めてだな) 何考えてるのかわかんねぇ表情で、ただただ俺たちをジトォ…と見つめている。 なんとも言えない雰囲気…… 丸雛たちはガチガチに緊張してて、月森先輩は楽しそうにニコニコしている。 「さて!皆んなが揃ったところで、始めましょうかっ。 ーー内側研修を」 そんな中、すんげぇワクワクしてるハルの声が響いた。 (は? 内側研修……?)

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