216 / 533
sideレイヤ: 事態は、最悪 1
ドンドン ドンドン!!
「すみませんっ!すみません開けてください!! 小鳥遊くんっ!」
「「「櫻さん!!」」」
「ぁ、皆さん……!
扉が、扉が開かないんです!鍵を開けたのに、何かが内側から邪魔しているようで…この中に、小鳥遊くんがいるのに」
「ずっと叩いてたのか…こんなに手が真っ赤じゃねぇか…くそ……っ。
ーーおい龍ヶ崎、佐古、蹴り壊すぞ」
「言われなくてもそのつもりだ」
「てめぇらは離れとけ」
「行くぞ!」
ドカッ!!
バキィッ!!!!
もともと扉自体が脆かったのか、それとも俺たちの力が強かったのか、いとも簡単に壊すことができた。
「ハル……!」
「丸雛待て、そこにいろ。危険な可能性がある。矢野元、星野も一緒に待機だ」
「櫻も残れ、後は俺たちに任せろ」
「っ、わか、りました……」
「大丈夫ですよ、ハル様を連れて直ぐに戻ってまいりますので」
「残りは俺についてこい」
俺・月森・佐古・梅谷先生で、真っ暗な部屋の中へ足を進めた。
「……話し声が、するなぁ………」
「1人分の声しかしていませんね」
「…ハルのじゃねぇな……」
小声で話しながら、声がする方の部屋の方へと進んで行く。
近づくにつれてどんどん大きく聞こえてくる声は、ただただーー〝異常〟で。
気づかれないよう静かに廊下を歩いていた足が、だんだん早くなっていく。
「っ、悪い、開けるぞ」
ドアの前から様子を伺うなんて手順を抜き取って、思いっきり開け放した。
「ーーっ!」
「……なんだ…こ、れは………っ」
明かりのついた明るい部屋で
まず、感じ取ったのは ーー匂い。
甘ったるい花のような匂いと一緒に青臭い匂いが強く部屋の中を漂っていて、いるだけで頭がクラクラしてくる。
入った部屋の中は、壁じゅうハルに送りつけられていた写真で溢れかえっている。
その部屋の中心に、2つの人影が……あった。
「ーーっ、ハル!」
上に跨ってる奴を思いっきりベッドから退かし飛ばす。
「ハル、ハル……っ、ハル!」
ベッドに沈むハルは荒く呼吸しながらとてもぐったりしていて、涙の跡がいくつも顔に残っていて、見てて痛々しい。
そして、何よりもーー
「ーーーーおい、てめぇ」
ゆらりと、立ち上がった。
「返事しろ、痛がってんじゃねぇよ」
ガッ!と両肩を持って、ベッドの下に落ちていた細い体を持ち上げる。
「……おい、これは何だ…………?」
ハルの身体中にたくさん飛び散っている、白濁。
青臭い匂いの…正体。
「てめぇがやったのか……? これは」
ーー許さねぇ。
ともだちにシェアしよう!