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sideレイヤ: 違和感の、真実はーー
「ね、ねぇ……どうしておれたち呼ばれちゃったの?」
「わからないな…」
「…………」
「せ、先輩…」
「大丈夫ですよタイラ。時期分かるでしょう……」
ガチャッ
「悪りぃ、遅れた」
「失礼いたします…」
「いいえ、授業中にも関わらず急に呼び出してすいません。
ーーおい、揃ったぞ」
丸雛・矢野元・佐古・月森・星野・梅谷先生・櫻さん。
ハルと関わりが深いのは、こいつらくらいだろう。
「……うん…うんっ。ありがとうレイヤ」
じっくりと呼んだ奴らを眺めて、嬉しそうにあいつが微笑む。
ソファーから立ち上がってゆっくりとこちら側に歩いてきて、一定の距離を置いて立ち止まった。
「突然呼び出しちゃったりなんかして、ごめんなさい。
僕がレイヤに頼んだんです」
「ハル様が…? どうかされたんですかっ?」
星野の質問に、ふんわりと微笑む。
そのまま、
「皆さん、初めまして。
僕の名前は〝小鳥遊 ハル〟って言います」
「…おい小鳥遊。んなもん皆んな知ってるぞ、それが一体どうしたってんdーー」
「僕は、今日初めてこの学園へと来ました」
「「…………は?」」
「初めて…だと?」「ど、どういう事なのっ?」と騒つくのを、「黙れ」と静止させた。
「……おい、どういう事だ」
「昨日まで僕はずっと屋敷の中にいて、今日の朝初めてこの学園に着いたんだ」
「お前は、〝小鳥遊 ハル〟なのか?」
「うん、そうです」
(嘘を、吐いてる様子はねぇ)
真っ直ぐにこちらを見つめて話すこいつは、本当の事を述べているようだ。
こいつが、俺の本物の婚約者…なのか?
どういう事だ?
ーーそれなら、昨日までここにいた奴は、一体……?
ドクンと、心臓が嫌な音を立てる。
隣を見ると、月森の顔も真っ青になっていた。
ゴクリと唾を飲み込み、意を決して口を開く。
「……おい、お前の言ってる事が正しいんなら、
昨日までここにいた奴は…一体誰なんだ………?」
「昨日までここにいたのは、 〝小鳥遊 アキ〟。
ーーーー僕の、〝双子の弟〟だよ」
「ヒッ、」と誰かの短い悲鳴が上がった。
「ふた、ご……だと………? 馬鹿な…小鳥遊はーー」
「表向きは〝ひとり息子〟と言ってきたけど、
本当は、僕たち〝双子〟だったんだ」
「なん、だ…と………」
「そんな……まさ、か…………」
〝嘘〟だとは、思えない。
だって目の前にいるこいつは、似ていても昨日のこいつとは別人で、それを各々がそれぞれ感じ取っているようだったから。
〝小鳥遊 アキ〟
(たかなし、あき……)
待て。
『好きだ。早く俺の気持ちに追いついてこい、ハル』
ちょっと、待て。
『約束だ、ハル。来年は一緒に夏祭りに行こう。俺が、絶対ここから連れ出してやる』
(俺は、)
『幸せに、なろうな』
『~~~~っ、はぃ…っ、レイヤ……』
俺は今まで……一体〝何〟をーーーー
「…………おい、どうして小鳥遊は双子という事を隠してきた」
呆然とする俺の代わりに、梅谷先生が主導権を握ってくれた。
「それは……〝母さんが壊れてしまうから〟」
「母親だと…?」
「はい。母さんが、アキを嫌っているんです」
「一体、どうして」
「それは……僕にもわかりません。
でも、そんな母さんの事を父さんは守ってる。だから、小鳥遊の息子は僕だけということになってるんです。
母さんは、アキの事は嫌ってるけど僕の事は凄く大切にしてくれる。だから今回の入れ替わりが発生したんです」
こちらを見て話す顔が、スゥッと息を大きく吸い込んだ。
「ーー全て、お話しいたします」
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