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〝まだ〟って、 (なんで〝まだ〟なんだ!?) 「なぁ。俺ちゃんとお前の屋敷行った時言ったよな?」 「ぁ、あれはっ、俺を助けるため…だったし、もしかしたらでまかせかもって」 「ほぉぉ? でまかせねぇ」 「っ、」 な、何でそんな睨まれないといけないの!? 俺別に言ってること間違ってないよな!? 「俺があそこで言ったことがでまかせか…そうかそうか。 お前が発した俺への言葉も全部そうだったのか?」 「ちがっ!それは違う!!俺は違う…け、ど…… 面と向かってじゃなかったし、もし違かったら…どうしよって……っ」 俺を助ける為わざとあんな大口を叩いたんじゃないかって、不安がぬぐい切れなくて。 急に心細くなって、俯いて目の前のシャツを握ると「はぁぁぁ……」とまた深いため息が聞こえた。 ポスッと頭に手が乗る。 「アキ」 「な、なに」 「面と向かって言って欲しかったのか?」 「っ、ちが、別にそういうんじゃなくて」 「顔あげろ」 「……へ?」 「かーお、上げろよ。ほら」 「っ、うぅぅ…」 恐る恐る ゆっくりと顔を上げると そこには、呆れたように笑ってる レイヤの顔があった。 「アキ、好きだ」 「っ、」 「お前のそういう意固地なところも、他人ばっか気にしていっつも自分を後回しにするとこも、真っ直ぐに立ち向かってくるとこも、強いところも弱いところも…全部が全部 ーー愛おしいと思う」 ふわりと、頭に乗ってた手が頬へ移動してくる。 「小鳥遊 アキ」 「……」 「アーキ、返事」 「ぁ、は、はぃっ」 クスリと、目の前の顔が優しく微笑んだ。 「俺は、お前の事が好きだ。 もう何を言われようと、悪ぃが離してやれそうにない。 だから、 ーーーー俺と、結婚を前提に付き合って下さい」

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