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梅と櫻の物語 1
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梅谷先生と櫻さんの学生時代の番外編です。
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【side 櫻】
先ず始めに私が覚えたのは、声を出さないという事だった。
「嗚呼……あぁ…、ケイスケ……!!」
「ーーっ!」
容赦なく降り注ぐ拳や脚。
嫌な音を立てる身体。
酔いしれているかのような 声。
それらすべてから逃れるように、目を閉じ 唇を噛んで。
腕で頭を覆い、心を遮断する。
私が声を上げれば、この男は更に興奮する。
だから、ただ耐えるしか なくて。
(わたし、は)
ーー私は、一体何の為に 生まれてきたのだろうか。
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