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「生徒会、か」 3年生へと学年が上がり、先生から頂いた話。 私の成績や日頃の行いを見て推薦したというもの。 これまで規律はしっかりと守っているし、勉学においても成績は常に上位に入っている。 それにプラスして、この当たり障りない性格も考慮されてるのだろうな。 (まぁ、悪くはない話か) 他人から見る自分の印象が良いということだし、 ーーなにより、する事が多い方が気が紛れる。 本日早速顔合わせの挨拶があるとの事で、コンコンと歴史を感じる扉を叩いた。 『入れ』 「失礼いたします」 (割と早めに来たのにな、人が居たか) ガチャリと開けると、この学校で知らない人はいない顔。 「へぇ、やっぱお前も選ばれてたか」 「こんにちは梅谷。 先程のホームルームぶりですね」 「まったくもってそれな。なんだ、一緒に来れば良かったわ」 「冗談」 「冗談じゃねぇよったく……このやり取りもう何回目だよ櫻?」 「何十回レベルですかね? いい加減飽きません?」 「お前なぁ………」 梅谷 シュント 知らない人はいない程有名な家の次男で、容姿も淡麗。 ピアス等のアクセサリーはつけ放題だが、明るい性格や優秀な成績・周りを巻き組むリーダーシップなどで先生にも生徒にも一目置かれている。 そして、私と同じく中学生から高校に至るまでずっとA組。 と言うことは、もう6年も私たちは腐れ縁なわけで…… なんでこの男は、こんなにも構ってくるのだろう。 私は友人関係にもある程度の距離を保って接しているが、この男に至っては出会った時からずっと露骨に避けてる。 もう周りが見ても分かるくらい思いっきり。 それなのに、どうしてその垣根を超えてくるのか…… (本当、理解ができないな) 寧ろここまで来ると最早梅谷はMなんじゃないだろうか? 「お前何の役職? 俺会長」 「副会長です」 「へぇ。んじゃ俺に1番近いわけか」 「業務上話をすることは多くなるかと思いますが、あくまでそれだけですので」 「あーあーわかってるよ。 でも、そっちはそうだけど俺はちげぇからな」 「……〝まだ〟ですか?」 「ん?〝まだ〟だぞ?? ーー俺はお前に惚れてるっつってんじゃねぇか」 それは中学生…確か中2の頃。 日直で放課後一緒に残っている時、言われた。 夕焼けが差し込んでいて、その赤さに負けないくらい顔を真っ赤にして貰った告白。 普段からチャラチャラしてるからきっと罰ゲームか何かなのだろうと思ったのに、全然違くて。 この男はこんなにも真剣な表情ができるのかと、本当にビックリした。 だがーー 「その話は、1番最初に言われた時断ってるでしょう? その後も何回か告白されてますが、ちゃんとNOと言っているはずです」 「んな簡単に諦めきれるわけねぇだろうが。俺はまだお前のことが好きだ。こんなに好きになったのは初めてなんだよ」 「はぁぁ…… それでも、諦めてもらわないと困るんですよ」 どうせホイホイ寄ってくる生徒たちと毛色が違うからとか、そういう物珍しさなんでしょう? それともこの長い髪? 整った顔? 角のない性格? この世界に男女は関係ない、所詮は家同士の政。 この学園も男子校ということもあり男同士のカップルは多いし、私も別に偏見はない。 (でも、残念) 「私には、 ーー婚約者がおりますので」

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