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第15話 正反対

がたんごとんと電車に揺られること15分 地元の駅に着いて、駅にある大きな時計を見ると13時をちょっと過ぎた時間で、学校から帰る時間にはまだ早い。 友久は3年前に義理の叔母さんである美香さんと離婚し、それ以降アルコール依存症になってしまい家からは近くのコンビニに酒を買いに行くくらいしか家を出ていないから、今日もきっと家にいるだろう (……帰るのはもう少ししてからにしよう) 家にいる時間は出来るだけ短くしたい。 (でもこの時間から制服で歩いてると目立つしな…あんまり人がいなくて、ゆっくり時間を潰せる場所…やっぱりあそこしかないか。) と駅から家とは反対方向に歩みを進めた。 歩くこと5分 大きな公園の森林の中に小さな噴水 ここはあまり人が訪れることは無く、引き取られてから家で泣くと殴られることが分かっていたから、どうしても泣きたい時はここへ足を運んでいた。 中学生に上がってからここで泣いたのは初めて犯されたあの日だけだったから、ここに来るのはかなり久しぶりになる (ここは全然変わらないなー…) 噴水近くのベンチに座り、今日あったことをぼーっと振り返る (檜山さん…イケメンだったなぁ。 精神科医なんだっけ?僕なんかとは全く違う世界に住んでる人だ…) 爽やかで、赤の他人の僕を病院まで連れていってくれるほど優しくて、友久とは真逆の存在で… こんな…汚い僕とは正反対だ

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