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第33話 頼みたいこと

ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…… まだ薄暗い病室に規則正しい心電図の音が響く。 朔久が過呼吸を起こした後に少しベッドの横に椅子を置いて、手を握りながら数時間前のことを思い出す。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 午前1時 俺は朔久の入院手続きを終えると病院をあとにし、幼馴染の2人の待つファミレスへと向かった。 深夜ということもあり、かなり空いている店内で、ぎゃあぎゃあと喧嘩している声が聞こえて、俺はそちらへと向かい、半ば呆れた顔で2人の顔を見る。 「はぁ…お前らまた喧嘩してるのかよ…」 「あ、宗ちゃん!遅い〜!! だって!!!このばか一誠がパンケーキなんてこの時間に食べるなって!!」 と騒がしく話すのは、 二篠 桂(にじょう けい) 全体的に小柄で、俺とおなじ32なのに黙っていれば25くらいの女にしか見えない 「桂、うるさい。 全く…こんな時間に連絡して、俺らが起きてなかったらどうするんだよ…」 と静かに桂と喧嘩をしているのは、 参木 一誠(みつき いっせい) ひょろひょろとした身体と、もさっとした頭と丸眼鏡が特徴的だ。 「あぁ…すまんな。」 「…どうかしたの?」 少し笑顔を作って話したはずなのに… 「すぐに気が付くのは流石幼馴染だな。 …頼みたいことがある。」

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