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第34話 どうして?

桂と一誠がピシッと固まり、数秒の沈黙が流れた 『「宗一郎(宗ちゃん)が!!!!?」』 「そんなに驚くことか?」 「いや、宗一郎は完璧主義!って感じで、いつも1人で全部やってるイメージだったから…」 「だよね…びっくりしたぁ…」 「そんな風に俺の事を見てたのか……」 「それで?何をすればいいんだ?」 「単刀直入に言うと、お前らの仕事に関することだ」 「えっ、仕事辞めろとか言われたらそれは流石に無理だよ??頑張って、春に警視になったばっかりだし…」 「俺だって専門官になったばかりだからそれは嫌だなー…」 と、本気で嫌がるふたりを見て、少し笑った。 「いや、流石にそうじゃない。実は………」 俺は朔久の事を全て話した。 電車で倒れて病院に連れていったこと 身体に根性焼きや打撲痕が沢山あったこと 路地裏で倒れていて、瑛が発見したこと その時、精液や血液が付着していたこと そしてそれらが恐らく虐待によって付けられたものだということ 今日の3時半頃に過呼吸を起こしたが、 今はまだはっきりとは目を覚ましていないこと 虐待をしているやつに法的に処置を下し、朔久に近づけないようにしたい、ということ それら全てを話し終わると、先に口を開いたのは桂だった。 「んで?それを僕らに手伝って欲しいと?」 「…そうだ。」 「もう警察には通報してあるの?」 「あぁ。だが、一刻も早く解決したい。」 「それはどうして?」 「どうしてって……」 「僕だって性犯罪に関する課で働いてるし、事の重大さは充分に分かってるよ。 でもどうしてそこまで宗一郎が他人に固執するのかがわかんない。」 桂の表情は警視庁捜査一課で警視を務めるだけあり、きつい眼差しで俺から目をそらさない

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