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第35話 イタリアン
『その子に恋をした。』
なんて、遊びが激しかった学生時代を知っている幼馴染二人に言ったらからかわれるかもしれない。
もしかしたら、同情と愛情を履き違えているだけだと言われるかもしれない。
第一、17歳なんて一回り以上も離れた子に恋愛感情を抱くなんて俺はおかしいのか…?
と考えると言葉を発することも出来なかった。
「……」
「まぁ桂、そのへんにしとけ。宗一郎が凄い怖い顔になってる。」
と誠一が止めに入ると、桂は「…はぁい」と小さく返事をして俺から目を逸らした。
そして一呼吸おくと、誠一が再び口を開く。
「俺は別にいいよ。案外仕事暇だし」
「えっ、ちょっとせいちゃん!!!?」
「本当か!!!?」
「うん。なんか本当に困ってそうだし。」
「…誠一、本当にありがとう。」
誠一の思わぬ返答に驚いたのか、桂は慌てた様子でこちらに向き直った
「えー!!?なんか僕だけ酷いやつみたいじゃん!!
いいよ!!!僕も手伝う!!!!!」
「桂…!!」
「そ・の・か・わ・り!解決したらイタリアン奢ってよね!!」
その言葉の迫力と、ちゃっかりとした所に少し圧倒されてしまい、笑みが零れた。
「ふっ…分かった。約束な。
桂もありがとう。」
「どういたしましてっ!」
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