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第36話 手
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ふと顔を上げて時計を見ると、朝6時を過ぎていて、そんなに考え込んでいたのかと『ふぅ』とため息をつきながら身体を伸ばした。
確かに桂が言っていた通り、今までは『誰かに頼る』なんてことは考えもしなかったし、大抵の事は1人で出来ていた。
でも今回ばかりは、何とかいち早く解決したいと考えた時に、桂と誠一の顔が思い浮かんだ。
(心強い友人がいて良かった。)
「…朔久、必ずお前を助けるからな。
だから安心して、早く目を覚ましてくれ…」
そっと朔久の左手を両手で優しく包み込む。
「…ん…」
「さく…!!?朔久!!!!」
朔久の瞼がぴくりと動いた
「朔久、手を握れるか?」
きゅっ
まだぼんやりと焦点の合わない目をうっすらと開けて、その問いかけに答えるかのように、朔久は少しだけ手を握った
俺は急いでナースコールを押す。
『どうされましたか?』
「精神科の檜山です。
307号室の一ノ瀬さんが意識を取り戻したようなので連絡を」
『宗一郎先生!!?
分かりました!すぐ向かいます!』
看護師は俺がいる事に驚いたようで、かなり驚いた様子で返事をした。
「あぁ、頼んだ。」
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