36 / 38

第36話 手

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ふと顔を上げて時計を見ると、朝6時を過ぎていて、そんなに考え込んでいたのかと『ふぅ』とため息をつきながら身体を伸ばした。 確かに桂が言っていた通り、今までは『誰かに頼る』なんてことは考えもしなかったし、大抵の事は1人で出来ていた。 でも今回ばかりは、何とかいち早く解決したいと考えた時に、桂と誠一の顔が思い浮かんだ。 (心強い友人がいて良かった。) 「…朔久、必ずお前を助けるからな。 だから安心して、早く目を覚ましてくれ…」 そっと朔久の左手を両手で優しく包み込む。 「…ん…」 「さく…!!?朔久!!!!」 朔久の瞼がぴくりと動いた 「朔久、手を握れるか?」 きゅっ まだぼんやりと焦点の合わない目をうっすらと開けて、その問いかけに答えるかのように、朔久は少しだけ手を握った 俺は急いでナースコールを押す。 『どうされましたか?』 「精神科の檜山です。 307号室の一ノ瀬さんが意識を取り戻したようなので連絡を」 『宗一郎先生!!? 分かりました!すぐ向かいます!』 看護師は俺がいる事に驚いたようで、かなり驚いた様子で返事をした。 「あぁ、頼んだ。」

ともだちにシェアしよう!