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第20話
「二人とも落ち着いて。羽根崎に頼んだのは俺だ……」
ベッドから身を起こし、双子の背中に向かって声をかける。素早く振り返った臣と芹が、まるで傷ついたように顔を歪めた。
「私はいつでも呼び出してくださいと申し上げたはずです」
「なんでヒートが来たのに俺たちを呼んでくれなかったの?」
「それは……」
二人の顔を見ると辛いから、とは口に出せず、典生は目を伏せる。しばらく沈黙が続き、重苦しい空気に耐え切れなくなったとき、背後からぬっと腕が伸びてきて、抱きかかえられた。
「おまえら金魚のフンやってるわりには詰めが甘いよな。こいつさっきうなされてたぞ。なあノリちゃん、おまえこいつらに捨てられんの?」
羽根崎の言葉はいつだって剥き出しの刃のようで、典生の心を鮮やかに切り裂く。胸元を握りしめた瞬間、典生を抱く腕に力がこもった。
「おまえらがこいつを捨てんなら、俺がもらう」
「え……?」
「バカなことを言うな!」
「あれだけ突っかかってきたくせに何言ってんの!」
状況を理解できず呆然とする典生の目の前で、臣と芹が怒りをあらわにしている。羽根崎は典生の顎に指を添え、耳の付け根を嗅ぎ、甘噛みしながら言った。
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