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放課後と再会 03歩

 楢崎さんは何も言えなくなったようで黙り込んだ。 「まだ眠たい」  もうちょっとだけ眠ろうかな。  目の前にいる楢崎さんを居ないものとして、また瞼を閉じた。 「自分の家で寝ろよ」 「遠いから我慢出来ません」 「はぁ……。自分の家に帰るか、俺の家で寝るか決めろ」  この人は何なんだ。どうして、その二択しかないんだ。 「ここで寝ます。起きたら帰ります。楢崎さんは帰っても良いですよ」  すると楢崎さんはいきなり抱き抱えて歩き始めた。 「僕に触るな……!!」  汚いから触らないで……!!  僕は暴れる。兎に角暴れる。 「いってぇ」  僕は暴れながら楢崎さんを蹴ったり叩いたりした。楢崎さんのスーツが汚れるのも御構い無しに。  それでも離そうとしない楢崎さんが僕にとっては恐怖で余計暴れる。  汚い僕なんかに触らないでほしい。  ただそれだけなのに。 「暴れんな」 「じゃあ、離せよ……!!」  頭を撫でられるのは好きだけど、体は無理だ。耐えられない。だから、本当に触らないでほしい。  お願いだから……。  汚いと言われる前に離されたい。 「も、お願いだから、触らないで……。きたないから、さわらないで…ぐすっ」  本当に辛くて、涙が出てくる。それに合わせて、暴れられなくなってきた。 「分かったよ。触らないから、そのまま俺の家に来い」  泣き始めた僕に溜め息を吐きながらも、楢崎さんは僕を離してくれ、ゆっくり歩き始めた。 「ぐすっ……」  どうしてこの人は僕に構うんだろう。  ”お前の味方だよ”とか言って僕に気を許させて、どん底まで落としたいのかな。 「うぅ……ぐすっ、いみ、わかんない…」  考えれば考えるほどネガティブになって、涙が溢れてくる。

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