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第20話
河内に言ったって仕方ない事かもしれないけど、あんなの見たら言いたくもなる。
俺だってそんなに詳しくは知らないけど、普通、服に精液付けられたりはしないだろ?
「彼は何をしてもいいんです。殴ろうが縛ろうが、死ななければ何をしてもいいという条件で買われています」
あまりにも淡々と説明するもんだから、鳥肌がたってしまった。
千鶴も変な奴だけど、河内のこの感情の無さは異常だ。
「しかし、今日のお客さんは少し乱暴だったみたいです」
「少しかよ」
聞いてて現実味が無さすぎて小説のネタにもなりゃしない。
そんなにボロボロになってまで自分を売る必要なんてあるのか?
「今日みたいに乱暴なお客さんに当たると傷が治るまで仕事が出来ません」
「……それって、三日くらい前もか?」
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